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「やってみる」の関所を越える ― 分かっているのに動けないを、行動に変える ―<6つの関所を乗り越える3>

スキルを理解したあとに、もう一つの壁が現れる

前回のコラムでは、「納得」から「スキル」へと進むプロセスを扱いました。
どうやればいいかが分かり、「これならできそうだ」という成功期待感を持てると、人はようやく「やってみよう」と思い始めます。

しかし、実際に行動しようとした瞬間、現場では次のような声が出てきます。
・「理解はしたけど、いざやろうとすると迷う」
・「失敗したくない」
・「やってみたけど、うまくいかなかった」

この段階で立ちはだかるのが、「やってみる」の関所です。

スキルを理解したのに行動できないのは、珍しいことではありません。
むしろ、ここで止まるケースのほうが圧倒的に多いのです。

「やってみる」の関所で何が起きているのか

この関所の特徴は、「頭では分かっている」状態で起きるという点です。
・やる意味は分かっている
・やり方も教わった
・それでも体が動かない

このとき人の中では、次のような心理が働いています。
・失敗したらどう思われるだろう
・うまくできなかったら評価が下がるのではないか
・今のやり方を崩すのが怖い

つまり、「やってみる」の関所は、能力の問題ではなく、感情の問題があるとも言えます。

ここを越えられるかどうかで、変革は「実行される取り組み」になるか、「分かったつもりで終わる取り組み」になるかに分かれます。

「やってみる」を可能にする2つの条件

この関所を越えるためには、次の2つが欠かせません。

① 第一歩の行動が、十分に具体的であること

人は、行動が曖昧なままでは動けません。
「積極的に対話する」「もっと挑戦する」、こうした言葉は方向性を示しますが、行動にはなりません。
必要なのは、迷いようのないレベルまで具体化された第一歩です。

例えば、
・会議の冒頭で、まず一人に意見を聞く
・1on1の最初の5分は、アドバイスをせずに聴く
・今日は1回だけ、新しいやり方を試してみる
ここまで具体的になると、人は「やる・やらない」を判断できるようになります。

② 不快な感情への対処法を、あらかじめ知っていること

もう一つ、極めて重要なのが、行動したときに出てくる不快な感情への備えです。

新しい行動を起こすと、ほぼ例外なく次の感情が出てきます。
・緊張
・不安
・気まずさ
・面倒くささ
これは「向いていない」サインではありません。変化が起きている正常な反応です。

しかし、ここで多くの人は、「やっぱりやめたほうがいいのかも」と引き返してしまいます。この引き返しを防ぐのが、行動コントロール法です。

行動コントロール法とは何か

行動コントロール法とは、新しい行動を起こしたときに生じる不快な感情と、どう付き合うかの方法です。

ポイントは、不快な感情をなくそうとしないこと「感じながら行動する」ための考え方と工夫です。
例えば、
・「緊張しているのは、今までと違うことをしている証拠だ」
・「違和感があるのは、慣れていないだけだ」
・「完璧にやらなくていい。今日は試すだけ」
こうした“自分への声かけ”は、行動を止める感情を、行動を続ける感情に変えてくれます。

また、
・行動のハードルをさらに下げる
・時間や回数を限定する
・うまくいかなくても振り返る前提でやる
といった工夫も、行動コントロールの一部です。

経営層・マネジメント層が押さえるべき支援のポイント

「やってみる」の関所は、個人の意思だけで越えるものではありません。マネジメントの関わり方が、成否を大きく左右します。

① 行動の結果より、「やってみた事実」を認める

この段階で結果を評価しすぎると、挑戦は止まります。
まず見るべきなのは、
・やってみたか
・試そうとしたか
という行動そのものです。

② 失敗談・試行錯誤をマネジャー自身が語る

マネジャーが完璧に見えるほど、部下は動けなくなります。
・うまくいかなかった
・戸惑った経験
・試して修正したプロセス
これらを語ることが、「やってみていい」というメッセージになります。

③ 不快な感情が出ることを“想定内”として扱う

緊張や不安が出たときに、「それはおかしい」「向いていない」と扱わない。
「それは誰でも出るものだ」「そこを越えるのがこの段階だ」そう伝えるだけで、人は踏みとどまれます。

「やってみる」は、変革を現実にする最初の一歩

納得し、スキルを理解しても、やってみなければ何も変わりません。
そして、やってみるとは、不安や違和感を抱えながら一歩踏み出すことです。

この関所を越えたとき、変革は「構想」から「現実」に変わります。

まとめ:「やってみる」を越えた先に、次の関所がある

「やってみる」の関所は、変革が本当に動き出すポイントです。
・行動が具体的であること
・不快な感情への対処法を知っていること
この2つがそろって、初めて人は行動できます。

そして、やってみたあとに待っているのが、次の関所「振り返り」です。
行動を一過性で終わらせるか、次につなげるか。その分かれ道については、「振り返り」に罹っています。

※シリーズコラム

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