
上司と部下の信頼関係づくり4段階 ─ 成果につながる関係性づくりのヒント
部下の成長やチームの生産性を高めようとする時、多くの上司が直面するのが「関係性の壁」です。
たとえば、上司が研修や資料で学んだ「問いかけ」を実践しようとしても、部下の受け取り方はさまざまです。
「あなたは今後どんなことをやって、どんな自分になりたいか」と聞かれ、
「自分の成長を応援してくれている」と感じる人もいれば、
「急にどうしたのだろう」「探られているのではないか」と不信感を抱く人もいます。
同じ言葉であっても「信頼関係があるかどうか」で、まったく違う意味に受け取られてしまう。
これは現場で日々起きていることではないでしょうか。
信頼関係の「4つの段階」
では、どうすれば“安心して受け入れられる関係”を築けるのでしょうか。
鍵となるのは、「信頼関係にも段階がある」という認識です。
株式会社ジェックでは、関係性づくりを4つの段階で整理しています。
関係促進の段階
まずはメンバーの心の扉を開き、親近感をつくる段階。納得促進の段階
「この人は自分のことを考えてくれる」「リーダーとして信頼できる」と納得感を持つ段階。パートナー促進の段階
敬遠感が消え、心の触れ合いが生まれ、尊敬や親しみを感じられる段階。共創促進の段階
使命感ややりがいが共有され、上司と部下が一体感を持ち、創造力を発揮できる段階。
「共創」の段階こそが成果の源泉
特に大切なのは「共創促進」です。
この段階に至ると、部下は「やらされ感」から解放され、自らやりがいを見出し、主体的に動きます。
その結果、組織全体のストレスも軽減され、成果創出につながっていきます。
まずは「今の段階」を見極める
「どの段階にいるのか」を把握しないまま、いきなり高度な問いかけや施策を実践しても逆効果になってしまうことがあります。
また、すでにパートナー促進の段階にある部下に、表面的な雑談だけを続けていれば、「自分のことをきちんと見てくれていない」と感じ、信頼が揺らいでしまうかもしれません。
つまり、どの段階にいるかによって、適切な関わり方があります。
たとえば、
関係促進の段階では、まずは相手の関心事(困っていること等)を通じて「安心感」を育てる。
納得促進の段階では、業務上のサポートや具体的なアドバイスを通じて「頼れる人」だと実感させる。
パートナー促進の段階では、弱みや課題も含めた本音の対話を重ね、「一緒に考える相手」になる。
共創促進の段階では、目標や使命を共有し、「未来をつくる仲間」として関わる。
段階を無視した関わりは、せっかくの努力を逆効果にしてしまうリスクがあります。
だからこそ、まずは自分と部下の関係が今どこにあるのかを意識し、その段階に合った一歩を積み重ねることが大切なのです。
信頼関係は、一足飛びには深まりません。
しかし段階を意識して行動すれば、着実に部下の成長を支え、生産性の高い現場へとつながっていきます。
次回は、この「4つの段階」を踏まえた具体的なアプローチ方法をご紹介します。






