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上司と部下の信頼関係づくり4段階 第2回:第一歩は「関係促進」から ~信頼関係は、親近感からはじまる~

チームが機能するためには、まず上司と部下の「関係づくり」が欠かせません。
前回お伝えしたように、この関係づくりにはいくつかの段階(フェーズ)があり、その最初の段階が「関係促進」です。ここを丁寧に乗り越えられるかどうかが、後の段階に大きな影響を及ぼします。

「関係促進」とはどんな段階か

この段階では、上司と部下の間にまだ人間関係ができていません。
対象となるのは、組織に入ってきたばかりの新人や、異動してきたばかりのメンバーなど、上司との関係が浅い人たちです。

新人は、上司に「良い印象を持ってもらいたい」と思う気持ちが強く、最初はあまり抵抗せず、指示に素直に従う傾向があります。表面上は従順に見えますが、心の距離はまだ遠く、いわば「赤の他人関係」に近い状態です。

もしこの段階で上司が親近感を与えられず、信頼関係を築けないまま時間が経つと、「他人関係」のまま関係が固定化されてしまいます。
お互いにストレスが溜まり、コミュニケーションも形式的になり、やがてはチーム全体の相乗効果を生みにくくなってしまうのです。

上司の打ち手:「親近感」をつくる

「関係促進」の目的は、部下に親近感と安心感を感じてもらうことです。
上司と部下が対等な人間として向き合うことで、部下の疎外感が薄れ、信頼の土台がつくられます。
ここでは、上司に求められる具体的な行動を6つ紹介します。

  1. 職場と方針を売り込む
    上司自身がチームの方針や働く目的を前向きに語ることで、部下の仕事への意欲が高まり、共通の方向感が生まれます。
     「この職場で一緒に成長していけそうだ」という安心感が、関係づくりの第一歩です。

  2. 部下を理解する
    上司が、相手の考え方や背景を知ろうとする姿勢を示すことが重要です。
     「自分に関心を持ってくれている」と感じることで、部下の心の扉が開きます。

  3. 上司が部下を認めていることを伝える
    意見の違いや失敗を否定せず受け止めることが、相手を認めているサインになります。上司の「受容の姿勢」が信頼関係の核心です。

  4. 愛情を持って親切に教える
    特に新人は、知識や技術よりも「この人に教わりたい」と思える安心感を求めています。
    親切で丁寧な関わりが、育成のスピードを加速させます。

  5. 対等な一個人として関心を持つ
    仕事だけでなく、人として関心を示すことで、部下の感情は好意的になります。たとえば、「最近どうですか?」という何気ない声かけも、信頼を積み重ねる大切な行動です。

  6. こじれている部下にはカウンセリングを行う
    関係がぎくしゃくしている場合は、説得や指導よりも「聴くこと」を優先します。改悛を迫るのではなく、話を丁寧に聴くことで、関係修復の糸口が見えてきます。

チェックポイント:関係促進を阻む上司の行動

次のような関わり方をしていないか、振り返ってみましょう。
これらは関係促進を妨げ、信頼形成を遅らせる要因になりがちです。

  • 育成方針を軽視し、「経験させれば学ぶ」と放任している

  • 部下に「上司の立場を理解させよう」としている

  • 「敬意を払わせる」ことを優先している

  • 「体験させるだけで成長させよう」としている

  • 部下を自分の手足や道具のように扱っている

  • 問題が起きた際に「反省を迫る」ことで済ませている

「人としてのつながり」から始める

上司にとって「関係促進」は、成果を出す前の“助走期間”に見えるかもしれません。
しかし、この段階を丁寧に築くことで、後の「目標共有」「協働深化」などの段階へスムーズに進むことができます。

信頼関係の始まりは、立場ではなく人としての関心と受容から。
「関係促進」は、信頼関係づくりの出発点であり、組織の文化を形づくる最初の一歩なのです。

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