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上司と部下の信頼関係づくり4段階 第3回:「納得促進」~リーダーに対する「この人なら任せられる」という確信をどうつくるか~

前回の「関係促進」の段階では、上司と部下の間に親近感を生み出すことがテーマでした。部下が「感じの良い上司だ」「この職場でやっていけそうだ」と感じられる関係を築ければ、関係性は確実に前進します。
しかし、そこからもう一歩深めるためには、“好感”だけでは足りません。次に必要なのは、「この人なら任せられる」「信頼してついていける」と感じられる“納得”の段階です。

「納得促進」とは何か

「納得促進」は、上司に対して“面倒を見てくれる責任感”と“組織運営の力量”を感じ、部下が「この人が上司で良かった」と確信を持つ段階です。
関係促進の段階では、上司の人柄や態度に好意を持っていたとしても、まだ「上司として信頼できるか」まではわかりません。
むしろこの段階では、上司の発言や判断を細かく観察し、「本当に頼って大丈夫か」を探っている時期といえます。

この「納得促進」がうまく進まないと、部下の心には次第に抵抗感が生まれます。上司に対して「頼りない」「公平でない」といった不信が芽生えると、関係は再び“他人関係”に戻りかねません。逆に、上司としての誠実さ・一貫性・力量が感じられたとき、部下の信頼は一気に深まります。

「納得促進」の段階を成功させるための上司の打ち手

この段階で重要なのは、安心して任せられる人という印象を確立することです。そのためのポイントを6つ紹介します。

1.許されることと許されないことを明確に伝える
組織としてのルールや行動基準を明確にし、筋を通すことで、部下の不安や依存を減らします。「何をしていいか・いけないか」がわかる職場は、心理的に安心できる環境です。

2.一人ひとりを主人公にした目標設定とマネジメント
上から与えるだけの目標ではなく、部下自身が納得し、自分の言葉で語れる目標を一緒に作ることが大切です。上司の支援が「自分ごと」に変わり、成果への主体性が高まります。

3.意思決定への参加を促す
自分に関係のあるテーマについて意見を求められることで、部下は「信頼されている」と感じます。意見が反映される経験は、組織への当事者意識を育てます。

4.情報を活用した影響力で動かす
「上司が言うから」ではなく、「その判断に納得できるから動ける」状態をつくるには、根拠や背景情報を共有することが欠かせません。現場や市場の情報を活かした説明は、理性的な納得を生み出します。

5.評価・配置・登用の納得性を高める
業績評価や登用における小さな不公平感が、信頼を損なうことがあります。「なぜそう判断したのか」を説明できる状態を保ち、透明性のあるマネジメントを意識しましょう。

6.上司自身が“心・技・体”を磨く
人間的魅力、専門的力量、実行力――どれも欠かせません。上司自身が学び、成長を続ける姿こそが、部下にとっての最大の納得材料になります。

チェックポイント:「納得」を損なう落とし穴

次のような関わり方をしていないか、振り返ってみましょう。
これらは部下の納得を奪い、信頼を揺るがすことにつながります。

  • 謙虚さや服従をしつけようとする

  • 目標と結果のみで管理しようとする

  • 権威的な命令で動かそうとする

  • 評価・登用のプロセスを閉ざす

  • 精神論で鼓舞しようとする

  • 「会社のため」という使命感だけで納得させようとする

“感じの良さ”から“信頼される強さ”へ

「納得促進」の段階は、上司としての信頼を確立するステップです。
人柄への好感を、上司としての信頼に変える―そのためには、言葉や理屈ではなく、日々の行動で「この人なら大丈夫」と思ってもらうことが何よりも重要です。

親近感の先にあるのは、確かな信頼です。
この段階を乗り越えたとき、上司と部下の関係は、単なる人間関係ではなく、成果を生み出す“信頼関係”へと進化していきます。

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