
管理職育成の本丸へ―現場と経営をつなぎ、チームを動かすリーダーシップとは
今、なぜ管理職育成が問われているのか
新入社員研修が一段落し、多くの企業では次世代リーダーや管理職育成に注力する時期に入っています。
いま、管理職にはこれまで以上に高いレベルの「橋渡し役」が求められています。経営層の意図を現場に伝えるだけではなく、現場で起きている課題や可能性を経営に届け、双方向の意思疎通を図る存在です。
しかし現実には、マネジャーが「経営と現場の板挟み」になり、疲弊や孤立を感じているケースが少なくありません。こうした状況では、組織として本来果たすべき成果や、人材の育成が滞る危険性があります。
今こそ、マネジャーを「現場を動かす変革の担い手」として育成することが、企業の成長に直結するテーマとなっています。
管理職育成の落とし穴:「スキル研修」で終わらせない
多くの企業が管理職向けにスキル研修や知識提供を行っています。しかし、それが現場の行動変革にまでつながっていないという声もよく耳にします。
その背景には、次の2つのギャップがあります。
1つは、「経営の意図」を自分の言葉で語れないこと。経営戦略や組織方針が“自分ごと”になっていないため、現場には伝わらないのです。
もう1つは、学んだ知識を現場でどう活かすかがイメージできていないこと。マネジメントが“座学”で終わり、実務に落とし込めていないのです。
管理職育成で本当に目指すべきは、「自ら考え、動くリーダー」です。
育成すべき力① 経営と現場をつなぐ「視座」
マネジャーには、単に指示命令を伝えるだけでなく、経営の意図や組織の使命を「現場の課題解決」に落とし込む視座が求められます。
たとえば、売上目標やコスト削減といった数値目標だけを伝えるのではなく、
「なぜそれが今、私たちのチームにとって必要なのか」
「これを達成することで、どのような未来を創りたいのか」
といった背景を、現場の言葉で語ることが重要です。
実践例としては、月次ミーティングで単なる進捗確認だけでなく、「経営の意図×現場の課題」を共有し、改善策をチームで議論する場をつくることなどが挙げられます。
育成すべき力② チームを動かす「関係構築と巻き込み」
管理職は、成果を上げるためにチームメンバーを動かす存在です。
しかし、単に業務を割り振るだけではなく、「共に考える」「気持ちを引き出す」「状況に寄り添う」といった、関係構築力が欠かせません。
特に変化が激しい時代には、メンバーの不安や違和感を受け止め、対話を重ねながら、一緒に前に進むことが大切です。
実践例としては、1on1ミーティングで仕事の成果だけでなく「どんな働き方をしたいか」「どこに壁を感じているか」といった目標対話を行い、個々の目標達成をアクションプランとして共に考えることが有効です。
管理職育成は「行動変革」から文化づくりへ
私たちが現場支援で感じるのは、管理職の考え方や行動が、組織文化に強く影響するということです。
「マネジャーが、日々どのような言葉をかけるか」
「困難な状況でも、どう乗り越えようとするか」
こうした行動こそが、チームや部下の価値観や働き方の規範となり、組織文化をつくっていきます。
そのため、育成施策も研修だけで終わらせず、現場での実践・振り返り・行動習慣化まで伴走することが不可欠です。
成果が上がるマネジャー行動を「型」として共有し、他の管理職にも広げていくことで、組織全体の風土変革につながっていきます。
これからの管理職に求められる「変革の担い手」像
これからの管理職は、経営と現場の翻訳者であり、実践者であり、組織文化の担い手でもあります。
単に業務を管理するのではなく、チームを導き、自らも変化し続ける存在となることが必要です。
経営層・人事部門が、管理職育成を「組織文化づくり」の起点と捉え、実務につながる支援を行うことが、持続的な企業成長への第一歩となるでしょう。
※参考:現場のマネジャーの考え方や行動の現状を把握する
ジェックでは、マネジャー対象の診断や、自社の組織文化にどのような強み・改善点があるのかを見える化する組織文化診断で、変革をご支援しています。