
ミッションを“使える言葉”にするマネジメント─理念を文化に変える現場リーダーの習慣
ミッションは語った。でも、現場で使われていない
春に掲げた経営理念(ミッション)。会社の進む方向を示す旗印として、キックオフや全社会議で語られたにもかかわらず、夏ごろになると現場では話題にもならない——そんな状況に心当たりのあるマネジャーは少なくないはずです。
「忙しくてそれどころじゃない」「現場に関係ない」といった声が部下から聞こえてきたとしたら、それは危機のサインです。
理念の“言いっぱなし”は、チームの迷走を招きます。
理念を現場で生きたものにできるかどうかは、マネジャーが、現場で使わせる“マネジメント”を意識しているかどうかにかかっています。今回は、マネジャーとして具体的に何をどうすればいいのか、3つの軸から整理します。
1.「語る」のではなく、「使わせる」
― 理念を現場の言葉に翻訳する
マネジャーの最初の仕事は、理念を“現場の言葉”に翻訳することです。
たとえば、会社のミッションが「社会の役に立つこと」であれば、それはお客様にどう応えることか、チームの行動としては何を意味するのか。メンバーが自分の業務に引き寄せて理解できるようにする必要があります。
具体的には、日々の会話の中でこうした問いを投げかけてみてください。
「いまの対応は、“お役立ち”の視点から見てどうだったと思う?」
「“挑戦”って、このプロジェクトでいうと何ができそう?」
「ミッションに沿って行動できているって、どんな状態だと思う?」
理念を「考えるきっかけ」として使い始めることで、部下の視野や判断の質が変わっていきます。
2.「問いかけ」で思考を深める
― 指示ではなく、対話で浸透させる
理念を使ってもらうためにもっとも効果的なのは、「問いかけること」です。
マネジャーが問いの形で理念を扱い始めたとたん、チームの会話に変化が生まれたということがあります。
たとえば、1on1や定例ミーティングでこう問いかけてみてください。
「この1週間で、ミッションを意識した行動って何かあった?」
「もしこの案件で“挑戦”を大事にするなら、どう変えられる?」
「ミッションと今のチームの動き、どこかズレを感じるところがある?」
理念は、説明するより問いにすることで、初めて“自分ごと”になります。
3.「見せる・称える」で文化にする
― 理念を日常で見える化する
理念に沿った行動を見つけたら、それを“見える化”し、チームに共有・称賛することが非常に効果的です。
「いまの対応、まさに“協調”を体現していたね」
「この前のサポート、ミッションに沿っていて素晴らしかった」
たった一言でも、理念がただのスローガンではなく、“使われている言葉”へと変わっていきます。
日報に「今日のミッションエピソード」欄を設けたり、週1のチームミーティングで「今週のMISSION称賛」を共有したりしている企業もあります。
理念は、“共有された瞬間”にチームの文化になります。
理念マネジメントは「習慣」で決まる
ミッションを形骸化させないために、特別な仕組みや制度は必要ありません。
マネジャーとして、理念を「翻訳し」「問い」「称える」——この3つを日々のマネジメントに組み込むだけで、チームは確実に変わります。
理念を使って部下と対話しているか?
理念を基準に行動を称賛しているか?
理念の意味を、自分の言葉で語れているか?
マネジャー自身が理念を“信じて使っているか”どうかが、文化づくりの出発点です。
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