
人事・現場・新入社員の三者間コミュニケーションの落とし穴とその処方箋
配属後の「静かなリスク」に気づいていますか?
新入社員が配属され、ひと段落と思いきや—ここからが本当の育成です。
現場社員・マネジャーの関わり方次第で、新入社員の成長スピードや定着意欲は大きく変わります。
特にこの時期は、「現場・人事・新入社員」の三者間におけるコミュニケーションのズレが、育成の不統一感や現場のモヤモヤを引き起こし、それがやがて休職や早期離職といった形で表出する可能性があります。
本コラムでは、そのようなリスクを未然に防ぐためのポイントと具体的な支援策をご紹介します。
現場社員が配属直後に押さえておくべき「育成5つのポイント」
現場側が「そこまで考えてなかった」「知らなかった」では済まされないポイントをまとめました。
1. 新人の「不安のサイン」に気づく
➤表情・言葉の減少、報連相の減少などの兆候をチェックする
➤「何か困ってることある?」ではなく、「最近○○はどう?」のように具体的な問いかけをする
2. “習うより慣れろ”ではなく、“慣れる前に考えさせる”
➤やり方だけでなく「なぜこの手順なのか?」も共有する
➤振り返りを促すことで自律的な学びをサポートする
3. 「できて当たり前」と思わない
➤「こんな簡単なことも分からないの?」と思うことがあれば、それは“育成の責任”であり、育成側に問題があったと考える
➤初期は“完璧”より“前向きな失敗”を歓迎するマインドを重視する
4. 毎週の“声かけ習慣”をつくる
➤週1回、10分だけでも「今週のよかったこと/困ってること」を聞く場を設ける
➤形式的な1on1よりも“カジュアルな立ち話”の積み重ねが効果的
5. 「評価」より「承認」から始める
➤成果より「チャレンジした」「継続した」ことをまず認める
➤安心感をベースに次の成長ステップへつなげる
人事と現場をつなぐ「引き継ぎコミュニケーション」テンプレート例
新入社員の配属にあたり、人事部と現場がスムーズにバトンを渡すためのテンプレート例です。
【人事から現場への情報共有フォーマット(例)】
項 目 |
内容記入例 |
氏名/配属先 |
○○部 ○○課 |
新人の強み/得意領域 |
自ら問いを立てて動く力、資料作成が丁寧 |
不安・配慮点 |
自己開示が苦手/わからないことを自分だけで抱える傾向あり |
指導にあたっての ワンポイント |
週1で“今の気持ち”を確認する場を持つと効果的です |
【現場から人事への定期フィードバックのポイント】
➤月1回、簡易レポートで報告する:「成長している点/つまずいている点/支援が必要なこと」
➤チャットなどでの随時報告でもOK。とにかく“音信不通”を避ける仕組みを定着させる。
経営層・人事部門への提言:配属後3ヶ月の“見守りフェーズ”を制度化しよう
【成長支援には“定点観測”が不可欠】
➤最初の3ヶ月間は、人事・現場・新人の三者定例ミーティングを月1回設ける
➤課題が噴き出す前に「小さな違和感」を拾う仕組みを定着させる
【制度と運用のバランスを見直す】
➤OJT担当任命だけでなく、「育成支援ミニマニュアル」を全配属先に共有する
➤マネジャー層向けには、「心理的安全性のある育成関係」構築の研修も有効
「配属して終わり」ではなく、「配属から育成の本番」
新入社員の定着と成長を左右するのは、配属後の現場のコミュニケーションでありマネジメントです。
人事部門と現場が手を取り合い、「伝えたつもり・分かっているはず」の落とし穴を避けながら、
育成の手綱をしっかりと引き継いでいくことが、新人の定着、長期的な人材力の底上げにつながります。
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