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「行動変容」を促すメタモニタリングスキル (2)メタ認知/メタモニタリングスキル

真の「行動変容」を促すためには、行動のみならず、行動を支配する価値観までを振り返り修正する、「ダブル・ループ学習(クリス・アージリス提唱)」が有効であると、前回共有しました。
行動を支配する価値観を振り返るとは? さらにどう修正すればよいのか? そのための「メタ認知」「メタモニタリングスキル」についてご紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.「メタ認知」とは何か?
  2. 2.行動を支配する価値観(Governing values)を正しく知る
  3. 3.正しく振り返り修正するための2つのポイント
    1. 3.1.「メタ認知的知識」を増やす
    2. 3.2.自分を肯定的に受け入れる



「メタ認知」とは何か?


まず、ダブル・ループ学習について、下記の図でもう一度確認をしておきましょう。



人が、行動を変える(行動変容をする)ときには、「行動」の不具合のみを修正する「シングル・ループ学習」より、「行動を支配する価値観」まで考え、その価値観を修正する「ダブル・ループ学習」の方が、真の行動変容につながります。

その「行動を支配する価値観」まで考え、その価値観を修正する時に必要なのが、「メタ認知」です。

「メタ(meta)」は「超える」という意味。そして、「認知」とは、「知覚」「思考」「感情」などの「心の働き」のことです。したがって、「メタ認知」とは、「認知に対する認知」のことであり、感覚的な表現をすれば、「自分の心の働きを見たり修正したりしている、もう一人の自分(の心の働き)」のことです。



行動を支配する価値観(Governing values)を正しく知る


メタ認知は、下図のように分類ができます。



行動変容を促すには、「メタ認知活動」の中の、

  • 「メタ認知的モニタリング」で正しく行動を支配する価値観を観察し、
  • 「メタ認知的コントロール」で課題を設定し修正を行っていく

ことが必要です。

中でも、「メタ認知的モニタリング」がきちんとできないと、修正、つまり、行動の変容も、間違ったものになる可能性があります。そこで、ジェックでは「メタ認知的モニタリング」力の向上を図ることを第一と考えています。

「メタ認知的モニタリング」力のことを、「メタモニタリングスキル」と表現をします。


では、どのように「行動を支配する価値観」を観察することができるのでしょうか。

ジェックでは、「行動理論改革モデル図」を用いて、「行動を支配する価値観」を可視化するトレーニングを行っています。

「なぜ?なぜ?なぜ?」とその行動を選択した理由を深掘りしていくのです。


前回のマスクの事例(Aさん)で考えてみましょう。


マスクをしないAさんの理由:

「マスクをすると息苦しいから、自分くらいはしなくて良い」(※息苦しいというのが、病気などの理由ではない場合を想定しています)

 ↓ なぜそう思うのか?

「周りの人がしているので、自分一人くらい大丈夫。日常の快適さを優先したい」

 ↓ なぜそう思うのか?

「確率論が低い行動を取って不快な思いをするより、快適さを選んだ方が得。万が一、感染っても若いから大丈夫」

 ↓ なぜそう思うのか?

「・・・・・」

 ↓ なぜ?

「・・・・」

このように、徹底的になぜ?なぜ?なぜ?と自問をするのです。そのうち、理由が堂々巡りというか、ループしてきます。そうすると、そこに自分の本当の価値観があるのではないかとわかってきます。

自分の本当の価値観が可視化できたら、どのように修正するのか、対比の価値観を設定することから始めます。これも、トレーニングをすれば、できるようになります。



正しく振り返り修正するための2つのポイント


正しく振り返り修正するには、「なぜ?なぜ?なぜ?」を繰り返しているだけではできません。2つのポイントを意識する必要があります。


「メタ認知的知識」を増やす

上図のメタ認知の分類にもある「メタ認知的知識」を増やし、さまざまな角度から考えることが必要です。

例えば、「マスクは、感染症対策にならない」という情報しか持っていなければ、「マスクをしなくても良い」という結論しか出ないので、どんなに行動を支配する価値観を深掘りしても、正しく振り返ったり、修正したりできません。

「マスクは、感染症対策にならない」という情報もある、一方で、「マスクは感染症対策の有効な手段である」という情報もある。他にも、感染症に関する情報を、多面的に持っていることで、判断の選択肢が拡がります。


自分を肯定的に受け入れる

もう一つは、自分を肯定的に受け入れるということです。例えば「自分は、ダメな人間だから」「自分はいつも身勝手だから」と決めつけてしまうと、客観的な心の観察ができず、誤った振り返りをしてしまいます。

また、可視化した行動を支配する価値観に対して、「やっぱり自分はダメだ」と自信を失い、自分を責めてしまうと、前向きに行動変容をしていこうと思えなくなったりもするのです。


このように、行動変容の第一歩を踏み出すには、メタモニタリングスキルが重要となります。

では、メタモニタリングスキルが向上して、正しい振り返りと修正ができると、行動変容・新たな行動の定着は、できるのでしょうか?

答えは「NO」です。

感染症も、第一波、第二波、第三波と、一時的に「新しい生活様式」への変容ができたとしても、なかなか定着せず、何度もぶり返しが起こっています。それをどう乗り越えて、定着させていけばよいのでしょうか。


次回は、「行動変容の関所」についてご紹介します。




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