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組織のリスクは、“当たり前”の中に潜んでいる

「まさか、こんなことになるとは思わなかった」

企業の不祥事や情報漏洩、品質問題、ハラスメント、SNS炎上などが起きた際、当事者のコメントとしてよく聞かれる言葉です。

しかし実際には、その多くが突然起きたわけではありません。

“以前から違和感を持っていた人がいた”
“危ない兆候はあった”
“でも、誰も止めなかった”

そんなケースは少なくありません。

そして、その背景にあるのは、特別な悪意ではなく、
「これくらい大丈夫だろう」
「今まで問題なかった」
という、組織の中で積み重なった“当たり前”だったりします。

「慣れ」は、リスクを見えなくする

人は、慣れているものに安心感を持ちます。

だから組織でも、
「昔からこのやり方でやっている」
「特に問題は起きていない」
という経験が、強い判断基準になりやすくなります。

もちろん、経験そのものは重要です。

しかし一方で、
“慣れ”
“思い込み”
“自分たちは大丈夫だという感覚”
が強くなると、本来見えるはずだったリスクが見えなくなることがあります。

例えば、
・「忙しいから確認を省略する」
・「このくらいなら報告しなくてもよい」
・「言わなくても分かるだろう」
・「今さら変える必要はない」
こうした小さな省略や思考停止が積み重なることで、事故や不祥事の土壌がつくられていきます。

そして怖いのは、その状態が組織内では“普通”になっていくことです。

「社内の常識」は、社外では非常識かもしれない

特に注意したいのは、組織の価値観が内向きになることです。

組織の中だけで仕事をしていると、
「これが普通」
「うちでは当たり前」
という感覚が強くなります。

しかし、その“当たり前”は、本当に社外でも通用するのでしょうか。

実際、不祥事が起きた企業を振り返ると、
「なぜ誰も止めなかったのか」
「なぜ違和感を持たなかったのか」
と感じるケースがあります。

ですが当事者からすると、それは日常であり、慣れた業務であり、いつもの判断だったのかもしれません。

だからこそ重要なのが、“外からの視点”です。

他部門の人の素朴な疑問。
新人の「なぜですか?」という一言。
あるいは、顧客からの違和感。

そうした“当たり前を疑う視点”が、組織のリスクに気づくきっかけになることがあります。

本当の原因は、「個人」だけではない

問題が起きると、私たちはつい「誰がミスをしたのか」を探したくなります。
もちろん、個人の責任がゼロとは限りません。
しかし、本質的に見なければならないのは、「なぜ、その行動が起きたのか」という背景です。

  • 違和感を言いづらい空気はなかったか
  • 問題提起すると責められる雰囲気はなかったか
  • 忙しさによって確認や対話が省略されていなかったか
  • 「これくらいなら大丈夫」が常態化していなかったか

つまり、リスクの本当の原因は、“個人のミス”ではなく、“組織の空気”にある場合も少なくないのです。

「自分たちは大丈夫」が、最も危ない

事故や不祥事は、特別な会社だけで起きるものではありません。

むしろ、「うちは大丈夫」「うちに限って」と思っている組織ほど、変化や違和感に気づきにくくなることがあります。

だからこそ必要なのは、定期的に“自分たちの当たり前”を見直すことです。

  • そのルールは形骸化していないか
  • その判断は本当に適切か
  • 現場は本音を言えているか
  • 「慣れ」で流していることはないか

組織文化は、日々の小さな行動や判断の積み重ねでつくられます。

そしてリスクもまた、突然現れるのではなく、“当たり前”の中で静かに育っていくのかもしれません。

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