
人事異動で崩れるのは“関係性と前提” 第4回:異動を“育成機会”に変えられる組織、潰してしまう組織
ここまで見てきた通り、人事異動はチームや組織に揺らぎをもたらします。
関係性がリセットされ、前提が揺らぎ、一時的にパフォーマンスが落ちることもあります。
しかし、企業がより成長発展をしていくために、組織のあり方を見直し、再設計する重要な機会なのです。
異動が「育成機会」になるかどうかの分岐点
同じように人事異動を行っていても、組織によって結果は分かれることがあります。
ある組織では、異動のたびに混乱が繰り返される。
別の組織では、異動を通じて人も組織も成長していく。
この違いはどこにあるのでしょうか。
大きな分岐点は、異動後の立ち上がりを“個人任せ”にしているか、“設計しているか”です。
「任せるだけ」の組織で起きていること
「任せるだけ」の組織では、異動後の立ち上がりは暗黙のうちにこう考えられています。
・「新任マネジャーがなんとかするだろう」
・「現場でうまくやっていくだろう」
一見すると自律性を重んじているようですが、実際には 必要な支援や設計が欠けている状態です。
その結果、これまで見てきたような、
・静かな崩れ
・前任者ロス
・見えない停滞
が繰り返されていきます。
そしてそれを「仕方のないこと」として扱われてしまっています。
異動を「設計する」組織の特徴
一方で、異動をタイミングよく育成機会に変えている組織には共通点があります。
それは、異動後の立ち上がりを意図的に設計していることです。
具体的には、
・期待役割を明確にする
・最初の1ヶ月で何をすべきかを定義する
・対話の場を設計する
・フィードバックの機会を組み込む
つまり、「うまくいくこと」を前提にするのではなく、うまくいくプロセスをつくっているのです。
組織文化は「設計できるもの」
ここで改めて強調したいのは、組織文化に対する捉え方です。組織文化とは、その組織に属する人たちの暗黙の当たり前とも言えます。
組織文化は、「自然に醸成されるもの」と考えられがちですが、実際には、
・どのような行動が評価されるか
・どのような対話が行われるか
・何が繰り返されるか
といった、日々の積み重ねによって形成されます。特にマネジメントに大きく影響されます。組織文化を設計し、育てていく/変えていくことは可能です。
どれだけ制度や方針が整っていても、現場での行動が伴わなければ、それは組織文化にはなりません。
マネジャーが、「挑戦を促しながら、失敗に厳しく反応する」「部門間連携が大事だと発信しながら、情報共有をしない」「現場の意見が大事だといいながら、聞く時間を取らない」などのギャップがある限り、挑戦や共創などの組織文化は定着しません。
マネジャーの一貫した行動こそが、組織文化を現場に根づかせていきます。
異動を“育成機会”に変えられる組織へ
人事異動は、組織の関係性と前提を見直し、より良い形へと更新していくための機会です。
人事異動に対して、
・マネジャーが変わってもメンバーが安心して相談できる
・人事異動による変化を前向きにとらえられる
・人事異動に対して会社の方向性や期待が伝えられている
などが多くの社員にとって当たり前となる(組織文化として定着する)には、人事異動の際の会社からの発信、段取り、マネジャーの行動にかかっています。






