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人事異動で崩れるのは“関係性と前提” 第2回:新任マネジャーが最初にやってはいけない3つのこと

新任マネジャーとして異動した直後、多くの人が強く意識するのは「早く成果を出さなければ」という責任です。

前任者と比較されているのではないか。
チームのパフォーマンスを落とすわけにはいかない。
できるマネジャーだと思われたい。

そうした思いがあるからこそ、多くの新任マネジャーは「正しい行動」を取ろうとします。
しかし、その“正しさ”が、かえってチームの立ち上がりを遅らせてしまうことがあります。

今回は、異動直後に起きやすい「3つの失敗」と、その背景にある構造を見ていきます。

やってはいけないこと①:「すぐにやり方を変える」

着任して最初に目につくのは、「非効率」や「改善できそうな点」です。
前の部署での成功体験があるほど、「もっとこうすれば良くなる」というアイデアも浮かびやすいでしょう。

そして、多くの場合、それは“間違っていない”のです。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。

異動直後のチームにとって重要なのは、「何が正しいか」よりも、「この人は何を大切にしているのかが分かること」です。

やり方を変えること自体が問題なのではありません。
問題は、「なぜそれを変えるのか」という文脈が共有されないまま変更されることです。

結果としてメンバーはこう感じます。
「これまでのやり方は否定されたのではないか」
「この上司は何を基準に判断しているのか分からない」

その瞬間、チームの中にあった暗黙の前提は崩れ、再び“様子見”が始まります。

やってはいけないこと②:「前任者を暗に否定する」

これは多くの場合、意図的ではありません。

「前のやり方も良かったと思うのですが、私としてはこうしたい」
「これまでの方法も理解できますが、少し変えてみましょう」

一見すると配慮のある言い方です。
しかし、メンバーにとって前任者は“共に仕事をしてきた存在”です。

そのため、どんなに柔らかい表現であっても、前任者のやり方が修正されることは、「自分たちのこれまで」への評価として受け取られます。

ここで起きるのは、単なる反発ではありません。
むしろ多くの場合、メンバーは表立って反応しません。

その代わりに起きるのが、「本音を出さない」「無難に従う」という静かな距離感の発生です。これは第1回で触れた“静かな崩れ”を一気に進める要因になります。

やってはいけないこと③:「評価しながら理解しようとする」

マネジャーである以上、メンバーを評価する立場にあるのは当然です。
しかし、異動直後にこの“評価の目線”が前面に出ると、関係構築は難しくなります。

例えば、「この人は優秀そうだ」「この人は受け身だな」といったラベリングが、短期間で無意識に行われていきます。

問題は、その評価そのものではなく、理解が十分でない状態で“判断が固定化されること”です。

メンバー側もそれを敏感に感じ取ります。
「もう評価されている」「今さら印象は変えられない」

こうして、対話は深まらず、表面的な関係のまま固定されていきます。

なぜ、こうした行動が起きるのか

ここまでの3つに共通しているのは、「マネジャーの役割の捉え方」です。

多くの新任マネジャーは、「成果責任=すぐに改善し、結果を出すこと」と捉えています。
しかし、異動直後において最も重要な役割は、そこではありません。

第1回で触れた通り、異動によって崩れているのは“関係性と前提”です。

つまり、この段階でマネジャーに求められるのは、「正しさを示すこと」よりもまずは「土台を再構築すること」です。

最初にやるべきは「観察・理解・すり合わせ」

では、どうすればよいのでしょうか。
重要なのは、行動の順番を変えることです。

観察 → 理解 → すり合わせ → 介入

この順序を意識するだけで、立ち上がりの質は大きく変わります。
・どのようなやり方で仕事が進んできたのか
・メンバーは何を大切にしているのか
・暗黙のルールは何か

これらを丁寧に理解した上で、「何を残し、何を変えるのか」を対話の中で共有していく。
このプロセスを経ることで初めて、変化は“押し付け”ではなく“合意された進化”になります。

「早く成果を出す」ために、あえて急がない

皮肉なことに、早く成果を出そうとするほど、関係性の再構築を飛ばし、結果として立ち上がりは遅れます。
一方で、最初の1ヶ月で丁寧に土台を整えたチームは、その後のスピードも、意思決定の質も大きく変わっていきます。
新任マネジャーにとって最初の仕事は、「変えること」ではなく、「理解し、つなぎ直すこと」です。

次回は、「“前任者ロス”をどう乗り越えるか」をテーマに、マネジャーだけでなく“メンバー側に起きている変化”に焦点を当てていきます。

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