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「仕事を謳歌する組織」を創る六カ条 二.仕事に意味を見出す(前編)

「謳歌」を辞書で調べると、意味が三つあります。(デジタル大辞泉 小学館 2019年8月19日閲覧)

1 声を合わせて歌うこと。また、その歌。

2 声をそろえて褒めたたえること。

3 恵まれた幸せを、みんなで大いに楽しみ喜び合うこと。

「仕事を謳歌する」というのは、意味の「3」に該当すると思われます。

この意味でポイントなのが、「みんなで」というところではないでしょうか。自分一人が、仕事を大いに楽しみ喜んでいても「謳歌」とは言いません。仕事を共にする仲間同士が、仕事を大いに楽しみ喜び合うことが重要です。




本シリーズは、「仕事を謳歌する組織」を創るための六カ条を、経営トップの立場からご紹介しています。

今回は「仕事を謳歌する組織」の2回目。「仕事の意味を見出す」です。


目次[非表示]

  1. 1.経営トップが「声を大にして言いたいこと」
  2. 2.ジェックの学び
    1. 2.1.バブル崩壊と新卒採用
    2. 2.2.仕事を謳歌できるメンバー、できないメンバー
    3. 2.3.動機づけの分岐点-仕事の意味付けが重要視された背景
    4. 2.4.マネジメントの違い



経営トップが「声を大にして言いたいこと」


企業理念の三大要因は、「社会貢献」「顧客満足」「社員満足」と言われています。

各社のホームページを見ると、「わが社は、〇〇という社会貢献活動を行っています」と、紹介しているものがよく見られます。それは、エコ活動であったり、地域ボランティアであったり、慈善団体への寄付だったり、スポーツの振興であったりします。大変すばらしいことです。

しかし、経営トップが「声を大にして言いたいこと」は、「わが社は、仕事(本業)そのもので、社会に貢献しているし、できるのだ」ということではないでしょうか。それは、「仕事への誇りであり、強みであり、存在価値であり、それに従事すること自体が価値のあることなのだ」ということなのです。

それは何故かというと、経営トップ自身が、これまでの仕事を通じて自社の仕事に誇りを持ち、さまざまな顧客と新たな価値を創り、やりがいを見出してきた経験を持っているからです。「わが社の仕事は、仕事(本業)そのものが社会貢献になるのである」と言う信念と誇りを持って仕事に取り組んできたからに他なりません。

だからこそ、経営トップは、その仕事の社会的意義を見出しているのではないでしょうか。社会的意義とは、直接的・間接的に社会をより良くするために役立っていると言うことです。わが社の仕事が、社会にどのように役立っているのかを理解し、その重要性を理解することが、社会的意義を見出すと言う意味です。人間は自分にとって意義・意味のあることをやり遂げたいと思っているものです。その意義を見出せば、自分にとって貴重で意味のある取り組みになります。

ある建材メーカーの経営トップは、部長時代に、「クレーム処理担当」と呼ばれるほどに、クレーム対応に明け暮れていたそうです。しかし、その時、単にクレームを処理するのではなく、顧客とともに、「クレームにならない製品を開発すればよい」「クレームは、市場のニーズであり、より良い製品を創ることは、最終ユーザーに役立つことになる」と考え、さまざまな新機能や新製品の開発に活かしたそうです。

ほとんどの経営トップは、誰に教わるわけでもなく、創業者の言葉や理念に教示されることはあっても、自ら、この社会的意義を見出すことができているのではないでしょうか。




ジェックの学び


バブル崩壊と新卒採用


当社は、1964年(昭和39年)東京オリンピックの年に創業し、カリスマ的な創業者のもと、バブル崩壊前までは右肩上がりの成長を続けてきました。平成元年には、初めて新卒採用の新人を迎えました。バブル崩壊前夜です。その後、バブル崩壊を経ながらも、毎年、十数人のエネルギッシュな若者がジェックの門をくぐりました。育成体制も整え、数カ月間の実地研修を経て配属し、配属先の育成も、上司が毎日対話を行い、手厚くサポートするというものでした。私はこのころ、ある営業所の所長を任されていました。

ところが、全社を見てみると、同じように育成を受けたにも関わらず、そのうち、何人かは辞め、何人かは低迷し、ごく一部の新人が業績を上げていきました。また、数年が立つと残っている人数の方が、少ないと言う状況になりました。それが数年続き、結局、新卒採用は打ち切りになったことがあります。



仕事を謳歌できるメンバー、できないメンバー


その中のトップセールスに育ったメンバーは、「自分たちの仕事は、ジェックの研修を受講した方の成長に役立つし、この仕事を通じて、自分自身の活躍の場も自ら拡げることができる」ということを自分なりに意味付けしていたことが、その言動から伺えました。そのメンバーは、成果向上の戦略を念入りに立て、上司や先輩と積極的にコミュニケーションを取り、自ら多くを学び取ろうとし、さらにお客様のお役に立つために上司や周囲を巻き込んでいました。

そのようなメンバーは、まさに「仕事を謳歌している」というように周りからは見えたものです。また、巻き込まれた人たちも、楽しそうに協力をしており、冒頭の辞書の意味のように、仕事を「みんなで大いに楽しみ喜び合う」状態を創り出していました。

片や、業績低迷から抜け出せないメンバーは、「依存的」「仕事が辛そう」「なかなか新しいことに取り組まない」傾向が見受けられました。しかし、それ以上に、「仕事の意味を考えられない」と言う副作用まで発生させていたことに驚いたことがあります。人は、意味がないこと(不明なこと)をやり続けることほど、ストレスの大きいものはないと言われています。メンバーも辛かっただろうと思います。



動機づけの分岐点-仕事の意味付けが重要視された背景


同じように資質を有し、期待をされて入ってきたメンバーなのに、なぜこのように、メンバーによって違いが生まれたのかを考えると、バブル崩壊を境に、動機づけやマネジメントのあり方に変化があったのではないかと思い至りました。

バブル崩壊前は、極端に言うと何をしても業績が上がるため(もちろん、お客様に喜ばれているというのが前提ですが)、自社の仕事に自然と誇りが持てていました。また、年間一定額の利益率を確保できたら、毎年賞与が1カ月増え続けるという施策があたり、最高10カ月の賞与を出すことができました。この時は、最高に盛り上がりました。さらに、結束力を高める社員旅行や小集団活動など、いろいろな手を打ち、社員のモチベーションも保ち続けることができていました。

ところが、バブル崩壊を境に、業績が頭打ちになり、当然賞与も下がり、新卒で入社したメンバーは、これらの恩恵を受けることはありませんでした。当然士気も上がらず、仕事に誇りを感じる機会も少なかったのではないかと思います。また、社会的にも「新人類」「男女雇用機会均等法」世代などといわれた彼らは、「戦後のモーレツ世代」とは価値観も違ってきていました。

つまり、今でいうところの「外発的動機づけ」が通用しにくくなり、「内発的動機づけ」が求められるようになってきたのです。この「内発的動機づけ」は、「仕事の意味付け」ができるかどうかが、大きな割合を占めていることは、みなさんご存知の通りです。



マネジメントの違い


これに気づかないリーダーは、キャンペーンを打ち、メンバー間の競争と報酬でメンバーを動機づけしようとしたり、「業績を上げるために、○○して当たり前」「○○せねばならないもの」という「べき論」「責任論」でメンバーの行動を喚起しようとしたり、「このままだと、ここにいられないぞ」と危機感を醸成しようとしたりしていました。つまり、「外発的動機づけ」が中心のマネジメントを行っていたのではないかと思います。決してマネジメントに手を抜いていたわけではなく、熱心に指導をしていましたが、逆効果になった可能性もあります。

一方、「仕事を謳歌している」メンバーを育成することが得意だったリーダーは、一見放任に見えていましたが、メンバーの可能性を信じて「考えさせる」ことに重点を置いていたのではないかと思います。前回お伝えした「Y理論」のスタンスです。そのメンバーたちは、どこか自由奔放で、ジェックの「当たり前基準」からはみ出しているように感じ、はたから見ているとハラハラしてしまうことも多かったのですが、結果として、数年後にジェックの業績を支えるメンバーに成長しましました。また、私が役員になり大掛かりな営業改革を行ったときも、彼らは、新しい営業手法の開発や、新しい顧客価値の創造などに積極的に取り組み、大いに助けられました。

人は、自分で決めるから、自分に責任を求め、自分に責任を持つから、その意味を考えようとするものです。つまり、自分が決めると言う意思がないと意味は見いだせないのです。それができなければ、「依存的で、自己責任意識が育たず、意志決定できないために、意味を考えられない人材を育ててしまう」という落とし穴があったことが、大いなる反省とジェックの学びとなったのです。

ちなみに、私自身のマネジメントはどうだったかというと、うまく育ったメンバーもいましたが、どう育成しようとしても成長しないメンバーもおりました。そのメンバーについて、営業会議の場で「水を飲みたくない馬を、水飲み場に連れて行ってもどうしようもない」という泣き言を漏らしてしまい、物議をかもしてしまったこともありました。新しいマネジメントにどうシフトしようかという、試行錯誤・右往左往の日々が続きました。


では、「内発的動機づけ」を促進するための「仕事の意味付け」をどう図っていくのでしょうか。
長くなりましたので、次回に続きます。



葛西 浩平

葛西 浩平

株式会社ジェック 代表取締役社長

経営変革を実現します

お客様がその先のお客様に選ばれ続けるために、ジェックは「共創型コンサルティング」でご支援します。
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