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新しい戦略なのに、なぜ仕事は増えるのか? ~戦略を実行するために必要な「役割の再設計」とは~

「今年はAIを活用して、業務の生産性を高めよう」
「これからは、より付加価値の高い仕事にシフトしていこう」
経営から新しい方針が示され、社員にも説明した。
研修も実施した。
AIツールも導入した。

ところが、現場から聞こえてくるのは、
「新しいことをやる時間がありません」
「結局、今までの仕事に仕事が上乗せされています」
「AIを使えと言われても、何をやめていいのかわかりません」
という声。
これは、社員の意識が低いからなのでしょうか。

もしかすると、問題は「人」ではなく、戦略が変わったのに、仕事や役割が変わっていないことにあるのかもしれません。

「戦略は変わった。でも、仕事は変わらない」という矛盾

新しい戦略を実行しようとするとき、私たちは「何をするか」を考えます。
しかし、それと同じくらい重要なのが、「そのために、誰が、何をやめて、何を担うのか」という問いです。

例えば、AIによって定型的な資料作成や情報整理の時間を削減できるようになったとします。
「これで生産性が上がる」と考えるだけでは、組織は変わりません。
そこで生まれた時間を、
顧客との面談に使うのか
新しい企画を考えるのか
・メンバー育成に使うのか
・データをもとに意思決定する時間に充てるのか
何に使うかによって、仕事のあり方は大きく変わります。

つまり、AIによって仕事の一部が変わるなら、同時に「人の役割」も変わる必要があるのです。

「役割の断絶」とは何か?

戦略が示されても、その戦略を実現するための役割や仕事の設計まで変わっていない。
これが、5つの断絶の2つ目である「役割の断絶」です。

例えば、「顧客起点の営業へ変わろう」という戦略が掲げられたとします。
ところが営業担当者は、従来どおり、
訪問件数
電話件数
提案件数
資料作成
・社内報告
などに追われている。
これでは、「顧客の課題を深く理解する」という新しい役割に時間を使うことができません。
戦略として掲げていることと、現場で求められている仕事との間に、ズレが生まれてしまいます。
これが「役割の断絶」です。

戦略を実行するには「足す」だけでは足りない

新しい戦略が出ると、組織はつい「新しい仕事」を追加しようとします。
「AIも使ってください」
「新しい施策にも取り組んでください」
「人材育成にも力を入れてください」
「顧客との面談も増やしてください」
もちろん、どれも大切です。
しかし、今までの仕事を残したまま、新しい仕事だけを追加すれば、現場の負荷は増えていきます。

そして、やがて起こるのが、「新しいことをやらなければならないのは分かっている。でも、目の前の仕事で手いっぱい」という状態です。

ここで必要なのは、「もっと頑張ろう」というメッセージではありません。
「何を増やすか」だけではなく、「何をやめるか」「何を変えるか」を決めること。
それが、戦略実装の第一歩になります。

「役割」を変えるとき、3つの問いを持つ

戦略を現場の役割に落とし込むときには、次の3つの問いが有効です。

① これから、何を担うのか?

まずは、新しい戦略によって「期待される役割」を明確にします。
例えば、
「AIを使う営業担当」ではなく、「AIを活用して情報収集や分析の時間を減らし、顧客との面談内容や提案の質を高める営業担当」と考えてみる。

単なるツールの利用ではなく、戦略実現のために人がどんな価値を発揮するのかまで考えることがポイントです。

② そのために、何をやめるのか?

新しい役割を担うためには、これまでの仕事をすべて残すことはできません。
「今まで当たり前にやってきた仕事の中で、やめられるものはないか」
「AIに任せられるものはないか」
「簡略化できるものはないか」
「本当に人がやる必要があるのか」
を問い直します。

仕事を増やすのではなく、仕事を組み替える。この視点が重要です。

③ その役割を果たすために、何ができるようになる必要があるのか?

役割が変われば、当然、求められる能力や行動も変わります。
例えば、AIによって情報収集の時間が短縮されるのであれば、「情報を集める力」だけではなく、「集めた情報から何を考えるか」「顧客にどう問いかけるか」「どのような提案につなげるか」といった力がより重要になるかもしれません。

つまり、役割の変化は、人材育成のあり方にもつながっていきます。

AI時代だからこそ、「人の役割」を問い直す

AIが仕事に入ってくると、「AIに何をさせるか」という問いに目が向きがちです。
しかし、組織変革という視点で見ると、もう一つ重要な問いがあります。
「AIができるようになったことで、人は何を担うのか?」という問いです。

AIによって情報を集める、整理する、文章を作るといった仕事が効率化されればされるほど、
何を問いにするのか
何を選択するのか
誰と話をするのか
どんな価値を生み出すのか
・どの方向に組織を動かすのか
といった、人が担う役割がより重要になります

だからこそ、AI導入を「業務効率化」で終わらせず、仕事と役割そのものを見直す機会として捉えることが大切なのです。

マネジャーは「仕事を割り振る人」から「役割をつくる人」へ

ここで重要になるのが、現場のマネジャーです。
経営から新しい戦略が示されたとき、マネジャーが単に、「会社がこう言っているので、これもやってください」と伝えるだけでは、仕事が増えるだけになってしまいます。

必要なのは、「この戦略によって、私たちのチームの役割はどう変わるのか?」を考えること。
そして、
「今までの仕事のうち、何を変える?」
「何をやめる?」
「新しく何を担う?」
「そのために、メンバーには何が必要?」
と、チームの仕事を組み替えていくことです。

第2回では、マネジャーを「伝達者」から「翻訳者」へと捉え直しました。
第3回では、さらに一歩進んで、マネジャーは「戦略を仕事に落とす人」である、とも言えるでしょう。

「戦略が変わったら、仕事も変わる」が当たり前の組織へ

戦略実装とは、戦略を説明して終わることではありません。
戦略が変われば、
意味が変わる。
役割が変わる。
仕事が変わる。
そして、求められる行動も変わる。

このつながりができて、初めて戦略は現場で動き始めます。
逆に言えば、「戦略は新しくなったのに、仕事のやり方は以前のまま」という状態では、どれだけ社員に「変わろう」と伝えても、なかなか変化は起こりません。

変わるべきなのは、人の意識だけではありません。
人が動く「仕事の構造」そのものを変えていく。それも、戦略実装における重要なマネジメントです。

あなたの組織では、「役割の断絶」が起きていませんか?

ぜひ、次の問いから考えてみてください。
新しい戦略によって、社員に期待する役割は明確になっていますか?
新しい仕事を増やす一方で、「やめる仕事」も決めていますか?
AIによって変わる仕事と、人が担うべき仕事を整理していますか?
マネジャーは、戦略をチームの仕事に落とし込めていますか?
・役割の変化と、人材育成の内容がつながっていますか?

もし「少し曖昧かもしれない」と感じる項目があれば、そこに「役割の断絶」が起きている可能性があります。

戦略実装の「5つの断絶」を、自社でチェックしてみませんか?

戦略が現場で実行され、組織の変化につながるためには、意味 → 役割 → 行動 → 実践 → 進化というつながりが重要です。今回取り上げた「役割の断絶」は、その2つ目にあたります。

では、役割が明確になったとして、なぜ人は思うように行動できないのでしょうか。
次回は、3つ目の断絶である「行動の断絶」を取り上げます。
「主体性を持ってほしい」
「もっと自分から動いてほしい」
そう伝えているのに、なぜ行動は変わらないのか。その背景には、「期待する行動」が具体的になっていないという問題があります。
「意識を変える」から、「行動を変える」へ。
次回は、戦略を実際の行動につなげるためのポイントを考えます。

あなたの組織では、どこで戦略が止まっていますか?

戦略が「伝わった」だけで終わっていないか。
役割や仕事に落とし込めているか。
現場の行動につながっているか。

「5つの断絶」から自社の戦略実装をチェックできる「AX組織変革実践ガイド」をご用意しています。
ぜひ、自社の戦略実装にどのような「断絶」が起きているのか、チェックしてみてください。
[AX組織変革実践ガイドをダウンロードする]

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株式会社ジェック マーケティングチーム
株式会社ジェックマーケティングチームです。企業や組織の課題解決のヒントになるコラムを発信してまいります。株式会社ジェックの特長である「行動理論の改革」と「集団性格の革新」をわかりやすくお伝えします。激変する今の時代に、アップデートできる人づくり、組織づくりの参考としていただければ幸いです。

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