
新任マネジャーが4月に壊れる前に、3月にできること
4月になると、新任マネジャーからこんな声が聞こえてきます。
「忙しすぎて、部下を見る余裕がない」
「自分でやった方が早くて、結局抱え込んでしまう」
「マネジメントって、いつから本格的にやればいいんでしょうか」
一方で、人事や上司の側からは、こんな違和感が生まれます。
大きなトラブルは起きていない
でも、チームが自律的に回っていない
部下が育っている実感がない
何より、マネジャー本人が消耗している
これは珍しいケースではありません。
むしろ新任マネジャーの多くが通る「初期のマネジメント不全」です。
なぜ、新任マネジャーは苦しくなるのか
理由はシンプルです。
多くの新任マネジャーは、「優秀なプレイヤー」として評価され、昇格しています。
自分で手を動かして成果を出してきた
周囲から頼られる存在だった
正解を早く出すことが求められてきた
その成功体験を持ったまま、管理職になります。
すると、無意識のうちにこんな行動が増えていきます。
任せきれずに自分でやってしまう
部下の仕事に手を出しすぎる
育成や対話は「余裕ができてから」に後回し
結果として起きるのは、
抱え込み型マネジャー、あるいは放置型マネジャーです。
重要なのは、ここで起きている問題は「能力不足」ではないということです。
マネジャー就任は「スキルの追加」ではない
マネジメントは、プレイヤースキルに何かを足せばできるものではありません。
本質的には、役割そのものが切り替わる出来事です。
成果を出す主体:自分 → チーム
評価される行動:行動量 → 他者の行動と成果
価値の源泉:できること → 任せ、育てること
つまり新任マネジャーには、新しいことを学ぶ前に、これまでの成功パターンを手放す必要があります。
これが「アンラーニング(意識的な脱却)」です。
なぜ「3月」なのか
多くの企業で、マネジャー研修は着任後に実施されます。
しかし、実務が始まった4月以降は、
・日々の業務に追われる
・人間関係が固定される
・行動の癖が一気に定着する
という状態になります。
一度定着したやり方を変えるのは、簡単ではありません。
一方、3月はどうでしょうか。
・立場は変わることが決まっている
・でも、まだ行動は始まっていない
・「どう振る舞えばいいか」を考える余白がある
このタイミングこそ、役割を定義し、意識を切り替えるための“最も効果的な介入時期”です。
人事ができることは何か
新任マネジャーが苦しむ構造は、本人の問題というより仕組みの問題です。
だからこそ、人事にできることがあります。
マネジャーの役割を言語化する
「やるべきこと」だけでなく「やめるべきこと」を示す
プレイヤーからの脱却を、個人任せにしない
着任前の3月に行うマネジメント研修は、スキル習得の場というよりも、「あなたは、もう“自分で成果を出す役割”ではない」と、組織としてメッセージを伝える場です。
新任マネジャーを「一人で頑張らせない」
マネジャーの立ち上がりは、その後のチームの状態、ひいては組織文化に大きく影響します。
「抱え込むマネジャーが増えるのか」「部下が育つチームが増えるのか」その分かれ目は、4月ではなく3月にあります。
新任マネジャーを、「できる人だから大丈夫」と一人で戦わせない。
役割を定義し、意識的なアンラーニングを支援することが、これからの人事に求められる重要な役割ではないでしょうか。






