
「言いづらさ」の正体に気づく ─ 小さな違和感を放置しないマネジメント
「言えない」自分に気づくとき
新しい部署でのマネジメントを始めたばかりのころ、部下に何かを伝える場面で「注意しづらい」「反発されそう」と感じたことはないでしょうか。
この“言いづらさ”は、単なる性格の問題ではありません。
むしろ、関係性がまだ安定していない中で、相手を理解しようとする自然な防衛反応でもあります。
ただ、この“言いづらさ”を放置してしまうと、チームの関係が進展しにくくなります。
お互いに「まだ様子を見よう」と距離をとるうちに、違和感を共有できない空気が生まれてしまう。その空気こそが、後の小さなトラブルやハラスメントの芽になるのです。
「違和感」を見過ごした先に起こること
「あのとき、あの発言をスルーしなければよかった」
「あの小さなズレを指摘しておけばよかった」
後から振り返って、そう感じた経験はありませんか。
“言いづらさ”の裏には、「言うことで関係が悪くなるかもしれない」という不安があります。
けれど、何も言わないままでは、“よくないことも流してしまう関係”ができてしまうのです。
小さな違和感を見過ごす習慣が積み重なると、チーム全体に「触れないほうがいい」という空気が広がります。
やがて、部下同士も互いに遠慮し合い、意見を出さなくなっていく。こうして“沈黙の文化”ができあがると、ハラスメントの芽が誰にも気づかれないまま育ってしまう危険性があります。
マネジャーが違和感を見逃さず、「少し気になる」と口に出すことが、関係性を健全に保つ最初の一歩です。
“言いづらさ”を超える対話
では、どうすれば“言いづらさ”を超えられるのでしょうか。
まずは、「自分がなぜ言えないのか」を振り返ることから始めてみましょう。
「嫌われたくない」「期待に応えたい」「まだ信頼されていない気がする」─その背景にある思いに気づくことで、言葉を選ぶ視点が変わります。
相手に伝えるときは、「責めたい」ではなく「よりよくしたい」という意図を明確にすることが大切です。
たとえば、「ここを変えてほしい」ではなく、「もっとこうすればお互いにやりやすくなると思う」と伝えるだけで、相手の受け止め方は大きく変わります。
“安心して言い合える関係”は、一方的な指摘ではなく、対話の積み重ねから生まれます。
マネジャーが小さな違和感を言葉にし、意図を共有する。その一言が、チームの信頼を育て、ハラスメントを未然に防ぐ力になります。
違和感に気づいたときこそ、関係を見直すチャンスです。
「言いづらい」と感じる気持ちは、相手を大切に思っている証拠でもあります。
その思いをエネルギーに変え、対話のきっかけをつくることができれば、
チームの関係はより強く、しなやかに育っていくでしょう。






