あなたのキャリアをデザインしよう! 第3回 自分の強みを知る

第2回では、自律型人材になるための三要素である「WILL/WANT(やりたいこと)」「CAN(できること)」「MUST(すべきこと)」の一つめとして、「WILLやWANT(これがしたい)」についてお話しました。今回は、「CAN(できること)」=「自分の強みを知る」です。

●自分の強みを知り自信を持って表現する

「強み」とは、その人が持っている「何かを成し遂げることを可能にする能力+その人ならではの魅力・良いところ」と捉えてください。

自分の強みを知るためには、いくつかの方法があります。一つは「アセスメント(検査)」を使う方法です。アセスメントにはさまざまな種類があり、強みを知るだけではなく、興味関心の方向性や性格の傾向などを測るものもあります。

代表的なアセスメントとして、「VPI職業興味検査(強みというよりは興味の方向性を測るもの)」や、「GATB厚生労働省編一般職業適性検査」、また「キャリア・インサイトMC(30代後半から60代を対象としたコンピュータによる職業適性診断システム)」などがあります。これらのアセスメントは、インターネットから資料を取り寄せたり、一部のハローワークで受検することができたりします。

より簡単にできる検査としては、「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう!あなたの5つの強みを見出し、活かす」(日本経済新聞出版社)なども、ビジネスパーソンによく利用されているようです。書籍を購入すると専用ウェブにアクセスするIDがついていて、ウェブ上で気軽に検査できます。

こうしたアセスメントを使って、自分の興味の方向性や強みを客観的に知ることは、自己理解を深める上で一定の効果があるといえるでしょう。その結果を踏まえて、自信を持って自分の強みを表現できるようになることは、キャリアを前向きに築いていくに当たって重要なことです。

ただ、アセスメントだけに頼るのは考えものです。私もいくつかの検査を受けたことがありますが、検査結果を見て「なるほど。自分はそういう傾向なのか」と感じて参考になったものの、何かもやもやしたしっくりしない感覚が残ることもありました。アセスメントはいうなれば、人が作った物差しに自分を当てはめて自分の傾向を測るものです。物差しに当てはめきれない自分が、「自分の強みはもっと他にあるのではないか」と、心の中でつぶやいているような、そんな心の状態になってしまった気がします。

 

●人は誰でもたくさんの強みをすでに持っている

「自分の強みって何だろう」ともやもやしている人は、心のどこかで「自分には十分な強みがない。だからこそ、外からの評価や検査結果を見ることで自信を持ちたい」、そんな気持ちがあるのかもしれません。

しかし、この思考傾向は、一歩間違えると《永遠の自分探し》にはまってしまいます。

自分の強みを測る物差しは、自分の中にあります。「強み」は、一人ひとりの中にすでに十分にあるのです。

強みとは、その人が持っている「何かを成し遂げることを可能にする能力+その人ならではの魅力・良いところ」とお伝えしました。

私たちが今日まで生きてきたこと。それだけでもすごいことなのです。あなたはどれだけ多くのことをこれまで成し遂げてきたでしょうか。生まれた時は寝ているばかりだった赤ちゃんが、立ち上がり、歩き始め、話すことができるようになりました。読み・書きを学び、学校に行き、卒業しました。卒業までにはたくさんの試験もクリアしてきたはずです。そして、仕事に就き、今日まで働いてきました。生まれてから今日までに成し遂げてきたこと・成果を出せたと思えることを(スポーツの全国大会で優勝したとか、社長賞を取ったなどの華々しいことでなくても)一つひとつ挙げていったら、どれだけ長いリストができるでしょうか。

例えば、学生時代に学業やクラブ活動に打ち込んで、自分が掲げた目標を達成できたこと、社会人になって、仕事を覚えいつのまにかお客様を任されるようになったこと、プロジェクトを任され成功に導いたこと、など。誰にでも必ず「成し遂げたこと」があるはずです。

生まれてきてから今日までに成し遂げた「事実」を、一つひとつリストに挙げてみましょう。そして「なぜそれを成し遂げることが可能だったのか」を事実の横に書き出してみましょう。

例えば「プロジェクトを成功させた」という事実があるならば、なぜあなたはそのプロジェクトを成功させることができたのでしょうか。成功の要因は何でしょうか。あなたはどのような知識・技術・考え方を使ったのでしょうか。そして、周囲からはどのような支援があったのでしょうか。その一つひとつをひもといてみましょう。

そして、事実と要因のリストを眺めた時、あなたが何かを成し遂げるために持っている能力、つまり「強み」が見えてくるはずです。この強みは、誰かが検査して傾向を出したものではなく、自分の実績の中に見いだしたものです。

実績に裏付けされた「強み」ですから、自信を持って、自分の中に受け入れることができるのではないでしょうか。

一人でも多くの方にこのワークを行っていただきたいと思います。このワークをすることで、自らの強みに自信を持つだけでなく、支えてくれた人々に感謝し、これまでのあなたの人生がキラキラと輝いて見えるようになるのではないでしょうか。

 

●やってみよう・強みを明確にするための「問い」

1.これまでの人生(仕事も私生活も含めて)を振り返って、「何かを成し遂げた体験」「成果を出した体験」を思い出し、5~10の出来事をリストアップしてください。

2.1で挙げたそれぞれの出来事や事柄について、「なぜ自分が成し遂げることができたのか・成果を出すことができたのか」を考えて、リストの横に書いてください。

3.1と2のワークを通じて出来上がったリストを眺めてみましょう。あなたの「強み」につながるキーワードが見出せるはずです。それはなんでしょうか?

 

※(弊社季刊誌『行動人』446号より加筆修正)

 

第1回 今なぜ、キャリア・デザインなのか?
第2回 自分のモチベーションの源泉を知る
第4回 キャリア・コンセプトを明確にする
第5回 キャリア・ビジョンを描く
第6回 ビジョン実現に向けて、現実と向き合い、行動する
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