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多様性からイノベーションを生む組織文化-集団性格の革新1



集団性格 ~これからの企業発展の鍵となる「お役立ち道の文化」とは~


経営変革を成功させる要因のひとつとして、「組織文化の革新」があげられます。

この「組織文化」の中でも、需要創造ができ、業績を上げ続ける組織への変革を成功させるものが「集団性格」です。

では、この「集団性格」とは何か、2回にわたって考えていきましょう。



目次[非表示]

  1. 1.集団性格とは
  2. 2.企業発展の条件
    1. 2.1.需要対応の時代から需要創造の時代への環境認識を持つ
    2. 2.2.経営理念とビジョンを共有し浸透させる
    3. 2.3.業績を決定づける三つの要因の相乗効果を高める
    4. 2.4.業績の方程式を「理念の実践を通じて需要を創造する」方向で再定義する


集団性格とは


集団性格とは、“挑戦・協調・お役立ち”の三つの価値観とそれに基づく行動様式で表す組織文化のこと

ジェック定義


集団性格は、創造的で経営成果に大きく影響する組織かどうかを表すものであり、組織文化の一部であると定義づけています。

そこでまず、組織文化について、少し整理をしておきましょう。

学術的な観点から見ると、研究者のアプローチの違い、主張の違いがあり、その定義はさまざまですが、組織文化の対象となる範囲は、

(1) 目に見えない深層部分

(2) 表に現れる行動

(3) (1)(2)の両方

という分類をするのが一般的です。

J.P.コッターとJ.L.ヘスケットは、

文化というものは、ある一つの集合体に共通して見出せる相互に関連し合う価値観と行動方法のセット、と定義することが可能

J.P.コッター , J.L.ヘスケット『企業文化が高業績を生む』1994, 梅津祐良訳, ダイヤモンド社, p.219

といい、E.H.シャインは、文化のレベルを

「文物(人工物)」 … 目に見える組織構造および手順(解読が困難)

「標榜されている価値観」 … 戦略、目標、哲学(標榜される正当な理由)

「背後に潜む基本的仮定」 … 無意識の当たり前の信念、認識、思考、および感情(価値観および行動の源泉)

(シャイン1985)

E.H.シャイン『企業文化-生き残りの指針』2004, 金井壽宏監訳, 尾川丈一・片山佳代子訳, 白桃書房, p.18

の三層で捉えています。

ジェックとしては、目に見えない深層部分 (1) が重要であることを前提として、実務の上では行動レベル (2) での変革に役に立つものでなければ意味がないことから、コッター、ヘスケット、シャインと同様に (3) を捉えた上で、次のように定義付けました。

組織文化とは、組織の大多数のメンバーが共有している価値観とそれに基づく行動様式の集合体のこと

ジェック定義


組織文化には、数多の「組織の大多数のメンバーが共有している価値観とそれに基づく行動様式」が存在します。その中で、経営成果に大きな影響を及ぼすものが、“挑戦・協調・お役立ち”の三つの価値観とそれに基づく行動様式であるとジェックでは絞り込み、それを集団性格と名付けています。三つの価値観とそれに基づく行動様式の詳細については後述いたします。

では、「集団性格」が経営にどういう影響を及ぼすのでしょうか?




企業発展の条件



需要対応の時代から需要創造の時代への環境認識を持つ


日本をはじめとする先進各国の市場は飽和しており、「需要の創造」は必須です。また、「需要への対応」ができる新興各国への進出は、企業存続の一手段でもあります。

しかし、高度情報化社会においては、先進国も新興国もほぼ平等に最先端の情報を得ることができるため、先進国はもとより、新興国であっても、「物が足りないから欲しい」だけではなく、「自分に価値あるものを求める」という消費傾向があるように思います。つまり、価値あるものを創造し続ける(需要を創造し続ける)という点では、先進国でも新興国でも同じなのです。



経営理念とビジョンを共有し浸透させる


高度情報化社会においては、企業の姿勢も、良い・悪いにかかわらずオープンにされ、瞬時に全世界に広まります。単に金もうけ主義で繁栄する企業は選ばれ続けません。社員全員が市場やお客様に真摯に向き合い、価値あるものを提供し続ける、そのための判断のよりどころとして、経営理念(以下「理念」と略)の重要性が見直されています。

ところが、昨今の企業倫理の欠落が引き起こす不祥事は、後を絶ちません。これらは、理念の形骸化の典型といえるでしょう。

あるいは、需要が見込める環境問題や社会問題に取り組むことは、戦略的見地から大きなビジネスチャンスですが、理念無き取り組みは、自社都合の金もうけ主義(不安心理につけこんだ悪徳商法など)に走る危険性もはらんでいます。理念を全社員の判断のよりどころにするからこそ、自社の強みを活かし、より良い社会を創るための社員の知恵と力を生み出すものにつながるのです。

そして、経営におけるビジョンとは、理念に基づいて描かれる、ある時点までにこうなっていたいという未来像です。鮮明なビジョンは、全社員に向う方向を示し、実現に向けた結集力を高めます。


ジェックが2000年に打ち出した「CPM経営(コンサルティング・パートナーシップ・マーケティング経営=お役立ち道に立脚した需要創造型実践理念経営)」も、このようなグローバル規模の社会や市場環境の変化の兆しを汲んだものです。「お役立ち道」とは、「お役立ちの精神と技量を極め続けること」です。

理念を基に、需要創造に向うビジョンを描き、全社に浸透していることが、これからの企業存続・発展における大前提となります。



業績を決定づける三つの要因の相乗効果を高める


では、実際に企業として業績を上げ続けるには、何が必要なのでしょうか。

これまでジェックが一貫して主張してきた「業績の方程式」を活用して、考えてみましょう。


業績の方程式

業績 = 戦略 × 能力 × 集団性格 + α(環境要因)

ジェック定義

業績とは、お役に立った結果としての売り上げや利益、仕事の成果のことです。

「+α(環境要因)」とあるのは、リスクを予測し計画を立てることは当然ながら、想定を超える災害、為替変動、紛争、あるいは特需などにより、業績に好悪の影響を及ぼすことを意味しています。しかし、直接コントロールできない問題ですので+αとし、業績を決定づける三つの要因からは外しました。

三つの要因である「戦略」「能力」「集団性格」は、掛け算で業績が決まります。つまり、互いに影響し合い、欠かせないものですが、実際の経営現場では、「戦略さえ優れていれば業績は上がる」「能力さえ…」「集団性格さえ…」というように、いずれか一つ、または二つの要因さえ良ければ経営は成功するという誤解が生じることも実際です。

しかし、どんなに優れた変革を伴う戦略を打ち出し、能力の高い人材をそろえたとしても、現状維持を好む集団性格だったとしたら、戦略は意図した通りに実行されません。これは、他の要因だけが高い場合、低い場合も同様です。

従って、三つの要因の相乗効果で業績は決まるのです。



業績の方程式を「理念の実践を通じて需要を創造する」方向で再定義する


それでは次に、「お役立ち道」に立脚した理念・ビジョンを前提として、それをいかに需要創造による成果に結び付けるか、その具体論に入りたいと思います。

先ほどの業績の方程式を活用して、次のように表します。


業績 = 需要創造型戦略 × 価値創造能力 × お役立ち道の文化 + α(環境要因)

ジェック定義


それでは、この式を基に、需要創造に向けた変革のポイントを整理していきたいと思います。

(1) 「需要創造型戦略」とは、市場起点で「潜在ニーズ」の仮説を立て、お客様と共に、その先のお客様に提供する価値を共創することを通じて、需要を創造する戦略のこと

(2) 「価値創造能力」とは、市場に対するお役立ちを創造する能力のことであり、そのお役立ちを創造する能力を自ら開発し続けること(内省的実践)ができる能力のこと。リーダーの場合は、Y理論の人間観に立脚し、メンバーの持つ創造性を信じ、引き出し、内省的実践家を育成する能力のこと

(3) 「お役立ち道の文化」とは以下の状態のことで、このような集団性格をつくることができれば、打ち出された需要創造型戦略を享受し、自らお役立ちの精神と技量を極め続け、需要を創造し続けることが可能となる

お役立ち道の文化とは、「社会をより良くする新たな価値を、共に創り続ける」組織文化のことであり、集団性格の理想的な状態のこと

ジェック定義


以上、理念の実践を通じた需要創造を行うには、集団性格は欠かせないということが確認できたかと思います。

次回は、「集団性格」とその最も理想的な状態である「お役立ち道の文化」について、さらに詳しくご紹介しましょう。



ジェック『行動人』2014年冬号(2014.12)/2019.2改訂


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