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お役立ち道の文化をつくる3つの価値観を高める ~いま、実現するお役立ち道経営 第3回


目次[非表示]

  1. 1.お役立ちの価値観:社会や市場の役に立とうとする価値観
  2. 2.どうすればお役立ちの価値観が高まるのか
    1. 2.1.①  自社の企業理念を徹底的に理解する。
    2. 2.2.②  各部門・各役割の使命を再定義する。
    3. 2.3.③  自分ならではの「お役立ち」を考える。
  3. 3.挑戦の価値観:あらゆる可能性にチャレンジしようとする価値観
  4. 4.どうすれば挑戦の価値観が高まるのか
    1. 4.1.①  「お役立ち」に裏付けされたチャレンジングなビジョン
    2. 4.2.②  一人ひとりがお役立ちの伝道者になる
    3. 4.3.③  業績に対する正しい考え方を持つ
  5. 5.協調の価値観:共創し協働しようとする価値観
  6. 6.どうすれば協調の価値観が高まるのか
    1. 6.1.①  お役立ちイメージを共有し、お互いのことを理解しあう
    2. 6.2.②  「熱い話」をする場をつくり、コミュニケーションの質を高める

全社を挙げて世の中の役に立つための新たな価値を生み出す「お役立ち道の文化」を醸成するためには、「挑戦の価値観」「協調の価値観」「お役立ちの価値観」を高めることが必要です。
今回はそれぞれの価値観を高めるヒントについてお話しします。


お役立ちの価値観:社会や市場の役に立とうとする価値観

お役立ちの価値観とは、「社会や市場の役に立とうとする価値観」です。
お役立ちの価値観が強い組織は、従業員一人ひとりが常に社会・市場顧客に目を向けて、「自社の商品・サービスを活用してもっと役に立てないか?」と考えています。そのため、社会や市場の変化に敏感であり、先駆けて新しい価値を生み出すことが可能となります。

また、他者の役に立ちたいという想いを、プロソーシャル・モチベーション(PSM)と言いますが、PSMが高い人はパフォーマンスや生産性が高いという研究結果が出ています。

そして何より、「他者の役に立つことで、喜んでもらう」ということが自身の喜びになり、仕事に対してやりがいを持つことができます。慶応義塾大学の前野教授も、他者への貢献がウェルビーイングを高めると主張されています。



どうすればお役立ちの価値観が高まるのか

①  自社の企業理念を徹底的に理解する。

企業理念は、「なぜ、この会社が存在するのか」ということを示したものです。多くの企業は、企業理念に「どのように社会の役に立ちたいか」が描かれています。なぜそのような企業理念なのか、そして、今後自社はどのようなお役立ちを目指しているのかが理解できれば、お役立ちの価値観が醸成されやすくなります。直接経営層から話を聞く場があることが理想です。


①  自社の企業理念を徹底的に理解する。

企業理念は、「なぜ、この会社が存在するのか」ということを示したものです。多くの企業は、企業理念に「どのように社会の役に立ちたいか」が描かれています。なぜそのような企業理念なのか、そして、今後自社はどのようなお役立ちを目指しているのかが理解できれば、お役立ちの価値観が醸成されやすくなります。直接経営層から話を聞く場があることが理想です。

②  各部門・各役割の使命を再定義する。


企業理念及びこれからの時代の変化に合わせて、各部門・各役割の使命を再定義することも大切です。例えば、アフターサービス部門について「機械を修理・点検する部門」とするか、「お客様の業務効率を高める部門」とするかでは、従業員の動きは全く変わります。また、そのお客様が抱える背景や、社会課題となっている企業の人材不足や採用難まで目が向くと使命感に火が付きます。「自分達の仕事は社会課題の解決につながっている」と感じながら仕事をし続けることが、お役立ちの価値観を大きく高めるのです。

③  自分ならではの「お役立ち」を考える。

会社の方向性(企業理念やビジョン)、各部門・各役割の使命、そして自分の強みややりたいことをつなぎ合わせて、自分ならではのお役立ちの姿をイメージできると、仕事への取組み姿勢が変化します。このような自分ならではのお役立ちの姿のことを、ジェックでは「お役立ちイメージ」と呼んでいます。お役立ちイメージをベースに自身の個人ビジョンを考えたり、今後の取り組みを考えることで、エンゲージメントが高まります。



挑戦の価値観:あらゆる可能性にチャレンジしようとする価値観

当社が提供する組織文化診断では企業全体又は特定の部門の組織文化を可視化することができます。
その診断結果で「挑戦の価値観が低い」という結果が出る企業には特徴があります。
それは、非常に強い商品・サービスを持っている、比較的歴史の長い企業です。

このような企業は、商品・サービスの開発に果敢にチャレンジし、それを一生懸命世の中に広めてきた歴史があり、当初は非常に高い挑戦の価値観を持っていたはずです。

しかし、徐々に商品・サービスが世の中に浸透し、ブランドとなり、安定して売れるようになってくる。すると、その商品・サービスをもっとお客様に使っていただこうと、お客様のニーズをキャッチして様々な改善を施そうとする。
一見挑戦しているように見えますが、あくまで「今の商品」「今のサービス」を中心に物事を考えるので、思い切った変化を起こす行動は起こしません。

まさに、かつてハーバード・ビジネススクールのクリステンセンが提唱した「イノベーションのジレンマ」に陥っている企業です。このような状況に陥ると、業績が徐々に下がっていることは認識していても、これまでの行動パターンから脱することができなくなり、挑戦の価値観が高まらないのです。

どうすれば挑戦の価値観が高まるのか

①  「お役立ち」に裏付けされたチャレンジングなビジョン

ユニクロを展開するファーストリテイリングは、2016年に「2020年度に売上高3兆円を目指す」という経営計画を立てました。2016年の売上が1兆7864億でしたので、5年間で売上高を約2倍に増やすということです。これは非常に高いチャレンジです。

しかし、「これって、ただ儲けたいだけじゃないの?」と社員が感じてしまっては、挑戦の価値観は高まりません。ファーストリテイリングの企業理念は「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」であり、自分達の服で世界を変えていこうという高い意識を持っています。

また、CSRのステートメントは「世界をより良い方向に変えていく」であり、世界の様々な人々に良い服を着てもらい、豊かで幸せになって欲しいという想いが込められています。

このような、「世の中へのお役立ち」に裏打ちされた高いチャレンジは、社員の心に火をつけ、ワクワク感が高まって挑戦の価値観を高めることにつながります。

②  一人ひとりがお役立ちの伝道者になる


先程のファーストリテイリングのように、「世の中の役に立ちたい」という想いのこもった理念を掲げている企業は多く存在します。
しかし、社員に浸透しているかどうかは企業によって差があります。
浸透している企業の特徴としては、社員一人ひとりが理念に関することを口にしているということです。
例えば、商談の場でお客様に対して「当社の理念は…」と自分の言葉で説明をしているということです。
また、社内の会議やミーティングでもしばしば理念や信条の話が出てきます。素晴らしいサービスの提供で定評のあるホテルグループのリッツ・カールトンでは、自社のクレド(信条)について定期的にミーティングを開いていることが知られています。
自分の口に出して話すと「どうすれば、それを実現できるのだろうか?」と常に考えることになります。考えながら仕事をすれば「このままで良いのか?」と問題意識を持つことになり、思い切った挑戦に向けた行動を取る可能性が高まります。結果的に、挑戦の価値観につながります。

③  業績に対する正しい考え方を持つ

ジェックでは「業績=お役立ちの量」という考え方を持っています。
つまり、お客様から「役に立つ」と認識していただいたからこそ選ばれ、お金を払っていただける。その結果業績が高まるということです。裏を返せば、業績が上がっていないということは、「役に立たない」と感じるお客様が多く、選ばれる状況になっていないということです。

この感覚がないと、「下がった業績を取り戻す」という発想で、今までのやり方にドライブをかけるだけになります。これは挑戦ではなく、一生懸命これまで同様の安定的な行動を取っているということです。
「選ばれるためには、何かを変えないといけない」と危機感を持ち、思い切って新たな動きにチャレンジして初めて「新たなお役立ち」が生み出され、選ばれるようになります。
「今のお役立ちでは、選ばれなくなる」と危機感を共有することができてこそ、挑戦の価値観が高まるのです。

ここで紹介したものは一部に過ぎません。挑戦の価値観を高めるためには、その企業様に合わせた手法を取ることが必要です。手法を誤ると、やらされ意識が強まったり、不満が蔓延して、逆に挑戦の価値観を引き下げてしまうこともあります。


協調の価値観:共創し協働しようとする価値観


「協調」という言葉を聴くと、「周りとうまく合わせる」「手を取り合って仕事をしている」というイメージがありますが、それは表面的な協調です。

協調の価値観の説明に使われている「共創」とは、目的を実現するために共にアイデアを出し合い、新しい価値ややり方を創造するということです。
つまり、一人ひとりが組織に対して、そして仲間に対して積極的に関わっている状態を示します。

まだできたばかりの会社では、何とかビジネスをうまく軌道に乗せようと、メンバー一人ひとりが必死に考え、お互いに意見をぶつけ合い、日々新たな価値ややり方を創造しています。
一方で、創業から長年たち、ビジネスが成熟して仕事のオペレーションが確立している状況では、「日々の仕事をうまく回す」ことに意識が向くため、徐々に組織や仲間に対して積極的に関わろうとする意識が減ってきます。皆さんの会社はいかがですか?

協調の価値観が弱まってくると、「表面的に仲良くする」ことだけに意識が向き、本音の話し合いが生まれなくなるため組織が弱体化してしまいます。新たな価値ややり方が生み出されなければ、これまで以上の大きなお役立ちは難しそうですね。

どうすれば協調の価値観が高まるのか

①  お役立ちイメージを共有し、お互いのことを理解しあう

お役立ちイメージとは、自分の強みややりたいことと、会社の方向性をつなぎ合わせ、自分ならではのお役立ちの姿を描いたものです。
同じチームに所属するメンバー同士がお互いのお役立ちイメージを認識し合い、その奥にある一人ひとりの想い・強み・価値観等を理解することで「もっとこの人と関わりたい」「この人の力を活かしたい」と思うことが、協調の価値観のベースとなります。

今は、タレントマネジメントシステムを導入し、従業員の情報をお互いに見られるようにしている企業も増えていますので、お役立ちビジョンの内容も閲覧可能にしておくことをお勧めします。

②  「熱い話」をする場をつくり、コミュニケーションの質を高める

新型コロナ禍の影響により、ここ数年で一気にリモートワークが広まりました。
働きやすさが高まった一方で、心の通ったコミュニケーションは難しくなったと感じている方も多いようです。

そこで、意図的に密度の濃いコミュニケーションの場を設けることをお勧めします。
チームのビジョンや共通目標を一緒に話し合ってつくりだすミーティングはぜひ行うべきでしょう。
​​​​​​​また、①で紹介したお役立ちビジョンを一人ひとりが発表し、「これから何をすればよりお役に立てるか」をみんなで考える、「おせっかいミーティング」の機会をつくるのもよいでしょう。
いずれにしても、かつては居酒屋やお昼休みに話していた「熱い話」を意図的に行う機会を設けることが必要です。
 
協調の価値観は「もっとこの人たちと仕事をしたい」「この職場に貢献したい」という想いを育てますので、エンゲージメントの向上にもつながります。


株式会社ジェック「お役立ち道ねっと」(別サイトに移ります)

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松井 達則
松井 達則
株式会社ジェック 代表取締役社長 【経歴】 大手金融会社を経て、2001年ジェック入社、コンサルタントとなる 2018年 取締役就任 2023年 代表取締役社長就任 【お役立ちコンセプト】「自燃型の人財づくり」 自分で考え、自分で動く自律型の人財はもはや当たり前。 自分の心に火をつけ、常に意欲的に行動することで、周りにも火をつける「自燃型」の人財づくりのお手伝いをいたします。

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