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今なぜ、キャリア・デザインなのか? 

~あなたのキャリアをデザインしよう! 第1回~

目次[非表示]

  1. 1.キャリアとは生き方そのもの
  2. 2.「会社任せ」はもはや通用しない
  3. 3.やってみよう・キャリアをデザインするための「問い」

キャリアとは生き方そのもの

さて、「キャリア」という言葉ですが、日本語にぴったりした翻訳がなく、意味をととらえにくいかもしれません。多くの方が、キャリアというと「職業の経歴」を連想するようです。

確かに、キャリアには「職業の経歴」という意味がありますが、それだけでなく、私生活も含めた役割の経歴(学生時代の勉学やクラブ活動、家庭人としての役割や責任、あるいは地域社会での自治活動やボランティア活動など)も含まれています。

同時に、キャリアには過去の履歴だけでなく、「将来の展望」も含まれます。つまり、キャリアとは「仕事も私生活も含めた生き方そのもの」であり、キャリアをデザインするとは、「自分のこれまでの生き方を振り返り、これからの展望を描いて自分の人生を歩んでいく」ことなのです。

また、キャリアは、「自己概念」を切り離して考えることはできません。
「自分は何者なのか」、「自分は、職業・あるいは人生を通じて、何がしたいのか、何をしていくのか」といった自己概念の形成や確立をしていくことが、キャリア・デザインの中核であるといえます。

しかし、この「自分は何者なのか」、「自分は、職業や人生を通じて、何をしていくのか」という問いに即座に答えられる人がどれだけいるでしょう。


「会社任せ」はもはや通用しない

キャリア教育は欧米が発祥の地で、1918年の第一次世界大戦終戦後、大量にあふれた失業者への職業紹介や職業訓練が最初であったといわれています。
それ以前は、職業選択においては世襲が普通で、「靴職人の子は靴職人に」「農家の子は農家に」といったように、本人が自分の志向や特性を考慮しながら、主体的に職業や生き方を選択するという考え方はほとんどなかったのです。

しかし、その後、米国を中心にキャリア教育の研究が進み、1970年代には学校のカリキュラムにキャリア教育が組み込まれ、1980年代にはスクールカウンセラーが中心となって生徒のキャリア相談を担当し、進路や履修プログラムへのアドバイスを行うことが仕組みとして確立されました。

比較すると日本のキャリア教育は後進です。キャリア教育が注目され始めたのは2000年代に入ってからです。
推察するに日本ではキャリア教育がさほど必要なかったのだと思われます。日本では1990年頃まで右肩上がりの成長経済で、学校を卒業すればほとんどの人が企業に就職でき、終身雇用が保障されました。
給与は年功序列の右肩上がり。企業に所属していれば、生活は安定し、家庭を持ち、マイホームを購入し、子どもを育てることができました。

その代わり、人事異動は社員の希望よりも会社が主体です。会社の意向で単身赴任を伴う異動や希望とは反する部門への異動があっても、「そんなものだ」と納得する人が多かったのです。多少、しっくりこないことがあっても定年まで勤めあげれば、花束と拍手で送り出される。自分も貢献感が持てる。それが幸せのひとつの形でした。これはほとんど社会の仕組みとして機能していたといえます。

この時代の行動理論(考え方)はこうです。

「キャリア・デザインは会社が主で自分は従。会社に従っていれば、安泰だ」。

しかし、その社会の仕組みは今や崩壊していると言わざるをえません。
先が読めない市場環境に対して、企業は競争力を維持するためには常に変革し適応する必要があります。
雇用は流動的で、転職は当たり前。一度会社に入社したら定年まで安泰ではないことは、誰もが感じるところです。
いつどうなるかわからないこの時代、私たちは常に「自分の市場価値」に敏感でなければいけません。「今の仕事の仕方で、自分のキャリアになるのか」という問い掛けを自分にしている人も多いでしょう。

もう、自分のキャリア・デザインを会社任せにはできません。

自分の頭と心と体で、「自分は、自分の人生をどのように生きていきたいのか」、「どうすれば自分が展望する人生を生きられるのか」を考えて、人生を自分の手で切り開き、確立していかなければいけないのです。

今の時代、企業組織に所属する私たちが持つべき行動理論(考え方)の例はこうです。

「キャリア・デザインは、自分が主体。自ら深く考え、主体的に将来の展望を描き、その展望を実現する生き方ができてこそ、自社にも世の中にも貢献できる」。

このシリーズでは、皆さんの主体的なキャリア・デザインの手助けをしていきたいと思います。常に立ち戻る「間い」は、「自分は何者なのか」、「自分は(職業や人生を通じて)何をしていくのか」です。


やってみよう・キャリアをデザインするための「問い」

1.あなたは何者ですか? 「私は」を主語に、文章を30個作ってください。
(例:「私は日本人です」「私は勤勉です」「私は人と話すのが好きです」など。「私は」の後に続く文章は自由)
そして、30個の文章の中から、最も自分をよく表現している、と思われる文章を5つ選んでください。

2.あなたは、仕事や人生を通じて、何をしていきたいですか? 2~3行の文章で整理してみましょう。


3.1と2について、仲間同士で共有してみましょう。そのときに何か発見はありましたか?


※(弊社季刊誌『行動人』444号より加筆修正)


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