
2年目社員が離れる職場に共通する “マネジャーの3つの無自覚”
前回は、「順調に見えた2年目社員が辞めるのはなぜか」というテーマで、その背景にある“構造のズレ”を整理しました。
1年目から2年目への移行において、「育成される側」から「自走を期待される側」へと扱いが変わる一方で、その変化が本人に十分に伝わっていない。このギャップが、静かな違和感を生み出している、という内容でした。
では、その“ズレ”はどこから生まれているのでしょうか。
多くの場合、その起点になっているのが、マネジャーの関わり方です。
ただし、ここで重要なのは、意図的に放置しているわけではない、という点です。むしろ逆で、「良かれと思ってやっている関わり」が、結果としてズレを生んでいるケースが少なくありません。
今回は、2年目社員の離職につながりやすい、マネジャーの“3つの無自覚”について考えていきます。
1)任せている“つもり”が、放置になっている
2年目社員に対して、「そろそろ任せていこう」と考えるのは自然なことです。
実際、任せる経験が成長を促すのは間違いありません。
しかし、その任せ方に落とし穴があります。
・何をどこまで期待しているのか
・どの状態になれば“任せた”と言えるのか
こうした前提が共有されないまま仕事が渡されると、本人にとっては“任された”のではなく、“置かれた”状態になります。
マネジャー側は「信頼しているから任せている」と感じていても、本人は「どこまでやればいいのか分からない」「判断に自信が持てない」と感じている。
このズレが積み重なると、やがて仕事は「挑戦」ではなく「不安」に変わっていきます。
2)フィードバックしている“つもり”が、評価で終わっている
日々のやり取りの中で、「良かった」「もう少しこうしてほしい」といった声かけは行われている。そのため、マネジャーとしては「フィードバックはしている」という認識になりがちです。しかし、その多くは“結果に対する評価”にとどまっています。
2年目社員にとって必要なのは、「何ができるようになっているのか」「どこが成長しているのか」という、変化の言語化です。
ここが抜け落ちると、本人の中に成長の手応えが残りません。
結果として、「やれているのかどうか分からない」「このままでいいのか不安」という状態が続きます。
評価は伝わっている。
しかし、成長は実感できていない。
この状態が、外に目を向けるきっかけになります。
3)対話している“つもり”が、業務連絡になっている
「こまめに声はかけている」
「必要なコミュニケーションは取っている」
そう感じているマネジャーも多いはずです。
ただ、その中身を振り返ると、多くは業務の進捗確認や指示・共有に偏っていませんか。
つまり、“仕事の話はしているが、本人の話はしていない”状態です。
2年目という時期は、
・自分はこの仕事に向いているのか
・このままここで成長できるのか
といった内面的な問いが強くなるタイミングでもあります。
しかし、その問いが職場の中で言語化される機会は意外と少ないのではないでしょうか。
結果として、本人の中で「ここ以外に」という選択肢が生まれ、その意思決定も相談されることなく進んでいきます。
無自覚な関わりが、無自覚な離職を生む
こまで見てきた3つに共通しているのは、いずれも「やっていない」のではなく、「やっているつもり」だという点です。
任せている。
フィードバックしている。
対話している。
その一つひとつに意図はあります。しかし、その“質”が本人にどう届いているかまでは、十分に検証されていないということです。
この状態が続くと、組織の側は「特に問題はない」と認識したまま、本人の中では静かに違和感が蓄積していきます。
そしてある時、「ここでなくてもいいのではないか」という判断に至り、いわゆる“突然の離職”として表面化します。
求められるのは、「関わり方の設計」
2年目社員の定着において重要なのは、特別な施策ではありません。
日々の関わりを、意図をもって設計し直すことです。
例えば、
・任せる前に、「何を期待しているのか」をすり合わせる
・結果だけでなく、「成長している点」を具体的に伝える
・業務とは切り離して、本人の状態や考えを聞く時間をつくる
どれもシンプルですが、意識しなければ抜け落ちやすいものです。
そして、この積み重ねこそが、個人の育成を超えて、組織の文化を形づくっていきます。
人が辞める理由は、制度や条件だけでは説明しきれません。
日々どのように関わられているか、その体験の総体が意思決定に影響を与えます。
今回は、その起点になっているマネジャーの関わり方について考えてきました。そして、実はマネジャーの行動は、単なる個人のスタイルではなく、組織文化に大きな影響を与えることはこれまでもお話ししてきました。
無自覚な関わりが続けば、無自覚な離職が生まれます。それを「(自組織に)合わなかった」「合う人が残るだろう」という認識が当たり前になれば、関わり方を見直すこともなく、育つ人が現れるのを待つしかなくなります。
逆に、意図的な関わりが積み重なれば、人が育ち、残る組織へと変わっていくことができます。







