
“安全文化をやさしく解説してみた” 話 - 朝礼うちわ話
コロナ禍をきっかけに、毎週1回、Zoomで開催されることになったライン部門の全体朝礼。
その中で話される、ちょっといい「内輪話」を皆様にもおすそ分けします。第12話。
“安全文化をやさしく解説してみた” 話(営業 Kさん)
※編集注:以下は安全文化についてほとんど知らない人たちに向けた話です。安全文化についての学術的な情報や正確な表現を欠いている場合もございますことをご了承いただければと存じます。
おはようございます。
「安全文化醸成」「安全文化診断」についてジェックでも数年前から取り組んでいます。お客様の関心も高く、安全文化診断のご実施実績も出てきているため、ここであらためて安全文化について大体どういうものかという前提の話をさせていただきます。
まず、「安全文化」の成り立ちについてです。
1979年3月にTMIという事故がありました。スリーマイル島ですね。
この直前に出された映画ってご存知でしょうか?
『チャイナ・シンドローム』です(コロムビア映画、1979年3月アメリカ公開)。原子力の燃料が燃えて漏れて溶けて、地面を突き抜けて地球の反対にある中国まで行ってしまうのではないか、という話なんですけども。アメリカの真裏は実はインド洋あたりだと思うのですが、これはご愛敬ですね。
で、何を隠そうこの同じ年に、日本でも同様の映画が出されました。
『太陽を盗んだ男』(東宝、1979年10月日本公開)。沢田研二さん主演ですね。これはテロの話です。原子力発電所からプルトニウムを盗んで原子爆弾を作るという話です。私、子供のころ映画館で観たのですが、印象的だったのが犯人と警備員が、原子炉のそばで拳銃を撃ちあうんですよね。原子力の警備員が、拳銃を持っているんですよ。まあ、そんなことは実際にはないだろうと思ったんです。この映画も、こんな風に現実とは違うなと思われるところもあったんですが、こういった問題もはらんでいるということです。
その後、チェルノブイリの事故ですね。これが1986年4月。
そして2011年3月に福島第一原発で事故が起こりました。
この二つの事故の間に、東野圭吾さんが書いた『天空の蜂』(1995年、講談社)という小説があります。要求を呑まないと高速増殖炉を爆破するぞ、というテロリストの話です。2015年に映画化(松竹)されました。
このように、事故を先取りする形で、映画や小説が生まれています。やはり、危険性をはらんでいるということから、こういった作品が生まれているのではないかと思います。
ところが、TMIの事故で分かっていたはずなんですが、「安全文化」と言われ始めたのは実はチェルノブイリの事故以降なんです。チェルノブイリの原発事故がきっかけで、「安全文化」という言葉がIAEA(国際原子力機関)から出てきました。
その後、原子力の分野からその他の分野へも「安全文化」「安全文化の醸成」は広がってきました。とはいっても実際のところ、この「安全文化」という言葉そのものは、原子力の分野では当たり前ではあるのですが、その他の分野では、さして普及しておりません。皆さんが陥りがちなのが、「安全文化」というのはどこでも一般化している概念だと思って、例えば建築の現場や、製造現場に行って「安全文化」と言っても、「何それ?」と言わることも多いのではないでしょうか。一般的には「安全」というと「労働安全衛生」の方の概念が強いわけです。
「安全文化」というのは、安全性の問題を最優先で考えましょうということです。
未知のリスクと、既知のリスクというのがありまして、この既知のリスクには、最低限備えておきましょうというのが目標になっています。どういうのがあるかというと、地震、災害、テロ、戦争、航空機衝突事故、このように、数十年、数百年に一度ぐらい起こるようなことに関しては、最低限全部対応しましょうということです。
先ほど『太陽を盗んだ男』で、拳銃で撃ちあってたという話をしましたが、実は今、原子力発電所に忍び込んだら、映画の通り拳銃で撃ちあうことになります。どういうことかというと、2001年の同時多発テロ以降、テロに対する対策というのが、既知のリスクになってしまったので、今は警察車両が原子力発電所の中にいて、機動隊が入っていて、拳銃ではありませんが、短機関銃を持っていますので非常に危ないところになっています。
と、こういう風に、既知のリスクにきちんと備えているのです。
ただ原子力発電所で行われているこれらの取り組みというのは、原子力発電所以外の分野にも通用すると思うんですね。皆さんは、何か作業をするときには、必ずリスクを考えてから取り組むということを絶えずやられていると思います。例えば、以前にやったことがあることでも、もう一度リスクを考え直してみるというのは、習慣化していると思いますので、そういったことを我々も現場で伝えていくといいんじゃないかなと思います。
既知のリスクに対しては最低限の備えであり、未知のリスクにも備えていきましょうというのが原子力の話ですので、何があるだろうと考えると、宇宙人が来る、人類が滅亡する、など、色々考えられるのではないかと思いますが、実のところは、そこまで考えられていないというのが現実です。
ということで、そういう未知のリスクにも備えていけるような安全文化をきちんと考えていきましょうという話を、お客様ともしていただければと思います。
( 朝礼うちわ話 第12話 )
※ブログの公開日と朝礼日は同じではありません。また、ご紹介する話も順不同です。
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- 互いの取り組みを激励する・称える