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新一万円の渋沢栄一さん おススメの一冊

2024年に紙幣のデザインが一新すると先日発表されました。

肖像画で登場するのは、一万円が渋沢栄一さん、五千円が津田梅子さん、千円が北里柴三郎さんとのことです。ニュースなどでは、「渋沢栄一さんって誰?」という反応が多いとのことですが、我々ビジネスパーソンには、比較的馴染みのある人ではないでしょうか。書物を手に取ったり、上司や先輩からその教えを聞かされたりした方も多いのでは?

今回は、渋沢栄一さんの書かれた書籍から、おススメの一冊をご紹介します。

※尚、書籍名のリンクは、外部サイト(amazon)に飛びますので、ご了承ください。


目次[非表示]

  1. 1.渋沢栄一さんのおススメの一冊
  2. 2.幕末から昭和を生きた実業家
  3. 3.P.F.ドラッカーも大きな影響を受けている
  4. 4.一生涯を有意義に送るためのガイド
    1. 4.1.「立志」が、一生涯を有意義に送れるかどうかを左右する
    2. 4.2.何のための「立志」かで、人生は変わる
    3. 4.3.小さなこともおろそかにしない
    4. 4.4.人とのかかわりを大切にし、常に自分を顧みる。あとは、心の持ちようで「志」が果たせ人生を楽しく有意義に過ごせる


渋沢栄一さんのおススメの一冊

渋沢栄一さんのおススメの一冊をご紹介します。

『人生の急所を誤るな! 私が実践した夢と成功の実現法』1991, 渋沢栄一(『清淵百話』より)・竹内均(解説), 三笠書房

渋沢栄一さんが書いた『清淵百話』(1931年)から、竹内均さんが現代の若い人たちにもわかりやすいようにと、再編集をした一冊です。渋沢栄一さんのビジネスから人間修養に至るまでの実践哲学がまとまっており、読みやすく面白いのでおススメです。弊社でも、この本が出版されたとき、会社の推奨図書として、全社員に配布されました。

その内容に触れる前に、渋沢栄一さんの生涯を確認したいと思います。


幕末から昭和を生きた実業家

「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一さんの経歴の、主だったところをご紹介します。

幕末の今の埼玉県深谷市で、商業も営む豪農の息子として生まれた渋沢氏は、武士になり「尊王攘夷運動」に参加したいと、父親に勘当を申し出て、一橋家の慶喜(徳川慶喜)に仕えました。その慶喜の命で、パリで開かれる万国博覧会を含め、2年かけて欧州各地を視察し、資本主義文明に触れました。帰国後は、慶喜が退いていた静岡で「商法会所(銀行のような機能を兼ね備え、広く経済活動を推進する組織)」を興し成功をおさめ、その後新政府に移り、大蔵省に出仕しました。

しかし、ほどなく辞め、民間ビジネスに乗り出すこととなります。

日本最初の近代的な銀行である、第一国立銀行をつくり、様々な企業や団体の設立にかかわりました。その数ざっと600社を超えています。紙幣のデザインが刷新されるというニュースが流れた日、関西のテレビでは、京阪電気鉄道株式会社と、東洋紡株式会社が紹介されていました。このように、現在も続いている企業・団体も多く、いかに、日本の資本主義の礎を築いてこられたかがわかります。

またその思想は、『論語講義』『論語と算盤』という著書もあるように、孔子の論語をベースとして、実践を行っていたそうです。

このように、多大な功績を残し、昭和6年に92歳の生涯を閉じました。

参考:同『人生の急所を誤るな!』pp.227-231、
   公益財団法人渋沢栄一記念財団ホームページ https://www.shibusawa.or.jp/index.html


P.F.ドラッカーも大きな影響を受けている

渋沢栄一さんの影響を受けた人は、数多くいらっしゃると思いますが、経営学者のP.F.ドラッカーも、著書『マネジメント』で以下のように述べています。

率直にいって私は、経営の「社会的責任」について論じた歴史的人物の中で、かの偉大な明治を築いた偉大な人物の一人である渋沢栄一の右に出るものを知らない。彼は世界のだれよりも早く、経営の本質は「責任」にほかならないということを見抜いていたのである。本書は何よりも経営者のために書かれた「実務書」である。本書の材料は多くの国々の経営者の長年にわたる実務経験から得られたわけであるが、にもかかわらず本書全巻を貫くものは、結局、渋沢栄一がかつて喝破した「経営の本質は“責任”にほかならない」という主題につきるといえる。

P.F.ドラッカー『マネジメント 上 責任・課題・実践』, p.6「日本語版への序文」より, 1974年, 野田一夫・村上恒夫監訳, 風間禎三郎・久野桂・佐々木実智男・上田惇生訳, ダイヤモンド社

では、内容をご紹介しましょう。


一生涯を有意義に送るためのガイド

この本は、ひとことでいえば「人生をどう有意義に送ることができるか」のガイド本といえるでしょう。孔子の『論語』がたくさん引用され、その教えが、人生を送るベースとなっていることがわかります。その一部をご紹介します。

「立志」が、一生涯を有意義に送れるかどうかを左右する

上記経歴にもあるように、渋沢氏は、最初「武士になりたい」と志し、勘当を申し出ますが、これは、失敗で数年無駄にしたとあります。しかし、その過程で欧州の資本主義文明に触れ、後に「実業家を目指したい」と志を変えたそうですので、完全に無駄とはいいきれないと思います。しかし、できるだけ失敗しないためには、自分の長所と短所をきちんと知り、その最もすぐれた部分を活かした「志」を立ててやってみて、「これでいける」と見込みが立った時点で、確定させればよいとのこと。ただし、一旦、こうと決めたら、そこを揺るがすことなく、毎日を積み重ねていくことが大切です。

何のための「立志」かで、人生は変わる

そして、その「立志」は、「自分だけのため」の「立志」ではなく、「世のため・人のため」の「立志」が望まれます。

私は自分で天の使命を受けている者であるという信念を抱いているから、どんな困難と闘ってもあえて苦痛と思わない。国家公共のために尽くすのがその使命だからだと信じているから、自身の利益を犠牲にすることがあっても、不快を感じないのである。

『人生の急所を誤るな!』pp.38-39

小さなこともおろそかにしない

人は、ついつい小事をおろそかにしがちですが、

小事物の集合が大事物となるものであるから、小事物だからといってこれを軽視することはできないはずである。  同p.40

私は、一事一物に接するにもかならずそれに精神を込め、小事だからよい、瑣事だからかまわないというようないい加減な考えをもたない習慣をつくることを世人に勧めたい。 同p.41

また、知識を磨いて、徳を積み人格を磨くことで、真の幸福を得ることができます。

人とのかかわりを大切にし、常に自分を顧みる。あとは、心の持ちようで「志」が果たせ人生を楽しく有意義に過ごせる

社会の風波の及ばない学校生活をしていた青年がはじめて社会に立ったとき、学窓時代の理想と相反する多くの出来事に遭遇するはずである。しかし、そんなときこそ、はるかな前途をもつ若者はただ目の前の些事に気をとられず、心を大局に置き、不満を与え不平を抱かせた事実もやがてはみな自分自身のためになると考え、みだりに挫けず、慢心せず、中庸を守って青年の本領を全うしてもらいたい。 同p.106

以上、この本の一部をご紹介しました。

竹内均さんが、若い人でもわかりやすく再編集をされたという言葉の通り、若い人たちに向けたものだろうと思います(特に、社会人になり、いろいろと行き詰りそうになったときに読んでほしいと思いました)が、それだけではなく、中堅からベテランで、「この会社で何を成し遂げようか」「何を残そうか」という意思決定が必要な時期の年代や、経営者にも、それぞれの立場で心に響く内容です。

また、孔子の論語だけでなく、武士道の考え方も入っていて、ビジネスで成功するための書というより、「人としてどう生きるか」を問われているように感じます。


ところで、『武士道』といえば、新渡戸稲造さん。

新渡戸稲造さんも、「立志」について、こう述べておられます。

立志の効を全うするは日々の実行

―(略)― 青年が志を立てるのは経糸(たていと)を調(ととの)うると同じで、人生のどこからどこまでを、いかなる文(あや)に織りなすかという方針を定めて一貫する。しかし経糸(たていと)だけでは織物はできぬ。緯糸(よこいと)があって、経糸(たていと)と交わり、初めて錦繡(きんしゅう)の美をなす。ただ一本ずつの緯糸(よこいと)であるが、日々これを織ってゆけば、やがてりっぱな織物となりあやが出来る、立志はあっても、毎日撓(たわ)みなく継続してゆかなければ物にならぬ。経糸(たていと)と緯糸(よこいと)とがあって織物が出来、立志と日々の実行があって初めて目的を貫くことができる。

―(略)― ゆえにある事に出逢(でお)うたなら、最後までこれを継続することを決心し、かつ行うように修養しなければならぬ。

新渡戸稲造(2017)『修養』KADOKAWA, pp.95-96, 第四章 決心の継続 より(明治44年『修養』実業之日本社が底本)

立志(縦糸)は大切で、同時に日々の実行(横糸)があって、初めて目的を貫くことができる。一度、「これだ」というものに出会ったら、最後まで貫きとおすよう修養しましょう、ということです。

渋沢栄一さんも、同じようなことを説いておられますよね。

ちなみに、この、新渡戸稲造さんの言葉は、弊社「新入社員研修」の最後に、新入社員の皆様に贈っている言葉です。今年もこの言葉を受けて、社会人人生のスタートを切った各企業の新入社員の方たちがたくさんいらっしゃいます。

ぜひ、この機会に、今回ご紹介した名著を手に取って読んでみられては、いかがでしょうか。


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