
答え無き時代こそ「メタ認知」することの重要性 ~需要創造って?~
はじめに
昨今、私たちを取り巻く市場はますます複雑化し、飽和状態である。
何をどのようにすれば、お客様から選ばれ続けるのかという答えが無い時代である。だからこそ、需要を創造しようとする変革とアプローチが大切である。
需要を創造するには、従来どおりの自らのあり方を時には否定し、自分に向き合いながら変革することが求められる。
そのような一人ひとりの変革が、相乗効果を出している組織は強く、たくましい。
そのアプローチの成功のカギは「行動理論の改革」である。
◆参考
このシリーズでは、皆さまからいただいた質問にお答えする形で一緒に深めていきたいと思います。
Q 「行動理論」を確立することがなぜ「需要創造」につながるのでしょうか。
A 昨今は先行きが不透明であり、需要対応型の仕事のスタイル(お客様や会社から与えられる仕事をこなす)だけでは、業績を上げ続けるどころか今の業績を維持することさえも困難な時代です。従って、現場でお会いする多くの経営者の方々から「需要創造ができる人と組織を創る」ことが経営の最重要課題であるという話を聞く機会も増えてきました。
そこで、「行動理論」を確立することがなぜ需要創造につながるのかというご質問にお答えする前に、そもそも「創造」について定義を決めておく必要があると思います。
日本創造学会の高橋誠氏は次のように定義しています。「創造とは、人が異質な情報群を組み合わせ統合して問題を解決し、社会あるいは個人レベルで、新しい価値を生むことである」
「社会あるいは個人レベルで新しい価値を生む」とは、お客様へのお役立ちという成果や個人や組織の成長につながることだと解釈できます。次に、「異質な情報群を組み合わせ統合して問題を解決して」とは、お悩みや欲求という問題を解決する上で、固定観念にとらわれず、多角的なものの捉え方をしていくことと言い換えることができます。
例えば、リーダーの戦略がいくら素晴らしくても、「メンバーの反論や沈黙は、リーダー自身への否定」という捉え方をしていたのでは、組織が一丸となって成果を上げることは難しくなります。このケースでよくありがちな行動傾向は、メンバーの反論を無視したり、リーダーの戦略を強制したり、諦めてメンバーに迎合してしまうことです。しかし、「メンバーの反論や沈黙とは、メンバーの心の叫び」という捉え方(行動理論)に気付くと、反論の真意を傾聴して、お互いに納得して成果に向かうスタートが切れる確率が高くなります。だからこそ、需要創造型経営変革において、行動理論確立は大変お役に立てる手法だといえるのです。
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