
傾聴力
「傾聴力」はキーワードとしてマネジメントを問わず、さまざまな現場で定着している。
「傾聴力」を発揮するには、「相槌」「うなづき」「目つき」「驚き」……というようなテクニックやスキルも必要だ。
同時に、本質は「相手を本気で理解しよう」とする個人の在り方や、相手の価値観に共鳴し、一緒に大切にできるのかというスタンスなのだと思う。
部下が本当に聴いてほしいことをキャッチしているか?
よく仕事上の上司と部下の会話で、このようなやりとりがある。
「私、最近体調がすぐれないんです」
「そんな時は遠慮なく周囲のことは気にせずに休んでください」
「ありがとうございます」
確かに、この会話で表面的な問題は解決する。
しかし、部下が本当に聴いてほしい事は、なぜ体調がすぐれないのかという事だ。
それを聴いてもらえると、
今、置かれている環境や不具合の背景やそれに対する想いを相手にお話しできる。
そこから、本当の意味の問題解決につながる。
「どうかしたの?」の価値
「どうかしたの?」その一言が言えなかったり、部下からのサインを見逃している上司は多い。
忙しいのだろう。優先順位が低いだろう。…… などと、部下なりにサインスルーを忖度する。
リーダーシップとは、人間行動を予測し、コントロールする能力とも言える。
一人ひとりのメンバーを一段一段と成長させ、皆がもつ特長をうまく組み合わせながら、全体の成果を高めていくことだ。
そのためには、「自分よりすぐれた者を部下とし、共に働く技を知る」ことが大切だ。
その状況をつくるには、「傾聴力」でお互いに共感しあうことが、共に働く技やスタンスにつながっていく。それが未来を切り拓いていく。
未来を切り拓くのは、目立ちがちな顧客向けのプロジェクトやプレゼンだけではない。
「どうかしたの?」というような日頃の傾聴の一言をするかしないかも、大きく影響するのではないだろうか。