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1.「お客様が“これだ!”と求める営業スタイル」とは?
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【橋本さん(42歳)の場合】
会う人を変え、話す内容を変える

橋本がサービス業の今の会社に入社して12年が過ぎた。コツコツと仕事に打ち込む誠実な人柄の彼は、担当窓口にマメに顔を出し、一定の行動量を確保し、その結果、業績は年々微増を続けてきた。しかしここ最近思うように契約がとれなくなり、今や業績は前年度の半分にまで落ち込んでいる。

そんなある日、橋本は古くから担当している会社A社の受付で、ライバル社の営業担当者がA部長との商談を終えて帰るところに出くわした。

「前回の商談では、A部長は予算がないと言っていたはず。なのになぜあの会社がA部長と・・・?」疑念を抱いた橋本は、この会社の別部門の社員にそれとなく聞いてみると・・・驚いたことに、橋本が提案したものを「うちでは、同じ内容をさらに低価格で提供できます!」ともちかけて、そっくりそのままライバル社が契約していたのである。

あわてた橋本は、契約が滞っているほかの企業でもそれとなく探りを入れてみると、不安が的中!同様に契約を“横取り”されているケースが3~4件判明したのだ。橋本は血の気が引いていくのがわかった。そのまま、力なくへなへなとその場に座り込むほかないくらいに、ショックを隠せなかった。《俺のやっていたことは何だったんだ?!ライバルのためにお客様企業を創ってやっているようなものじゃないか・・・!・・・一体俺はどうすれば・・・》

その数日後、今の営業スタイルに限界を感じざるを得ない橋本がため息をつきながら新聞の人事異動をチェックしていると、懐かしい名前を発見。それは、新人時代に会っていた当時のⅩ社窓口担当者の名前だった。「駆け出しの新人の頃、飛び込みで回っていたとき、はじめて応接室に通してくれたのがⅩ社のⅩさんだった。どんな役職に就いたんだろう・・・」と目を走らせると、なんと、肩書きには「代表取締役社長」の文字が!

「・・・あっ、そうか!そうだ!!」その文字が目に飛び込んできた瞬間、まるで、目からうろこが落ちたかのようなひらめきが頭を走った。そして、橋本は大きく深呼吸して、決意したのである。「そうだ、これからはトップに会おう。トップにしかわからないことを聞き出せる営業になればいいんだ!」

思い立ったら即行動!とばかりに、橋本は早速、社長に就任したⅩ社のⅩ社長に電話を入れると見事にアポイント成功。そして、面談前に、以下の①~③について入念な準備を行なった。その際、最も気を配ったのは、「Ⅹ社長だったら、今、何を求めているだろうか?」と、相手の立場に立った発想で考え抜くことだった。・・・考え抜いた結果、そのポイントは3つに絞られた。
そこで橋口は面談前に、以下の1~3について準備しました。
1.お客様の先のお客様が、お客様に期待していることは何か?
2.お客様を取り巻いている経営環境はどうなっているか?
3.お客様の現場メンバーは何に悩んでいるか?
このような観点から仮説を立て、トップの本音を聞き出すリサーチ項目を入念に整理したのである。

さて数日後、いざ商談となり綿密に整理したリサーチを準備して伺った。するとⅩ社長は単なる昔話レベルではなく、期待していた以上に本音の悩みを打ち明けてくれた。そればかりか今後の構想までも、熱く語ってくれたのである!橋本は、今までにない経営に近い視点からの情報を得られたばかりか、それらを元に作成した新しい観点の提案はⅩ社長を喜ばせ、実際にⅩ社長の構想を具体的に後押しすることができたのだ。

この“成功”をきっかけに、その後、橋本は徹底してトップにアプローチする営業スタイルに変えていった。その結果、先のライバル社と契約していたほかのお客様企業や前述のA部長までも、ブランクを経て再び橋本に相談してくるようになった。さらに橋本は、その後の数多くの商談において、質量ともに以前とは全く異なったレベルの契約を結ぶようになっているのである。
「ニーズの深堀り」が鍵

会う人によって、問題意識は異なります。組織の上位者になればなるほど、大局的見地からの潜伏した問題を抱えているのが通常のこと。逆に、現場に近づけば近づくほど目の前の顕在化した問題が多くなるものです。そして、お客様企業が必要としているのは顕在化されたニーズだけではなく、本人は気づいていない課題であることも、当然あり得るのです。

したがって、常にそのお客様自身・その状況に応じた仮説を立て、ニーズを深堀りして聞いていくことが鍵になってくるのです。