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2.「組織を“率いて、動かす”プロデュース能力」とは?
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【塚田常務(54歳)の場合】
某中堅サービス会社の常務である塚田は、大手設備企業のD社長と会うチャンスを得た。「この絶好の機会を逃すまい!」と意気込んだ塚田、この商談の場で、相手企業にとってのメリットと問題解決の総合窓口として、自社でトータルプロデュースするのが可能なことを熱意を持って丁寧に訴えた。その結果、「じゃあ、塚田さんのところにお願いしてみようか。念のため、そのイメージを確認するための提案を持ってきてくれないかな?」と、D社長から大枠で合意を取り付けることができた。

「よし!後は“詰め”の提案をまとめればOKだ!」意気揚々と帰社した塚田は、早速、ことの経緯を自部門メンバーに説明した上で、若手ながら伸び盛りの部下、Tをプロジェクトリーダーに任命。関係各部門にも働きかけ、組織で対応するように命じた。Tも高揚した口調で、「まずは精一杯、いい提案をまとめ上げます!」との返事。塚田は「よし、任せたぞ!」とほっと安心したようにTの肩をたたいた。

さて1ヵ月後、塚田はTから提案を済ませたとの報告を受け、再びD社長と面談することになった。しかし、様子がおかしい。前回は塚田の話に全身を傾け、熱心に話をしていたD社長が、別人とでも言いたくなるようなそっけない素振り・・・嫌な予感がよぎる。

D社長がため息をつきながら切り出した。
「例の案件だけどね、悪いけど別のところに発注したよ」
「ええっ、話が違うではありませんか!“わが社に!”と言われたじゃないですかっ・・・?!」
「でも塚田さん、あなたのところは、うちがイメージしていた提案をしてこないじゃない!がっかりしたよ」
「・・・・・?!」

大恥をかいた上、煮えくり返ったはらわたに収まりのつかない塚田は、自社に帰るや否やTをはじめとする社員に雷を落とすしかなかった。

「どういうことだ?!打ち合わせどおりに提案した、と言っていたじゃないか?」
「はい、もちろんきちんと提案していますよ!」
「“きちんと”って、どこを“きちんと”提案したんだ?出張が続いてまともに見ていなかったが・・・提案書、見せてみろ!」
「はい!・・・先方に合いそうなわが社の商品やサービスを詳しく説明したものを全30ページの提案書で提案してあります」
「・・・!そうじゃないだろうが!!・・・ワンストップサービスでわが社が他社の商品やサービスもまとめてプロデュースできることを提案しろと言っただろうが!・・・わかっていなかったのか?!」
「・・・・・・・」

塚田がイメージしていたソリューションは「お客様が成果を上げるソリューション」であった。しかし一方、プロジェクトリーダーTが理解したソリューションは、ソリューションはソリューションでも、「自社商品の提案」の範囲に留まっていたのだ。立場が違えば、同じ言葉でも理解の深さや意味合いが変わってくる。プロジェクトリーダーとはいえ、一社員のTには塚田の意図が理解しがたかったのだ。

この一件で、「このままでは、わが社はライバル競争に勝てなくなる」と大きな危機感を抱いた塚田をはじめとする経営陣は、コミュニケーションのあり方もさることながら、「お客様の成果を上げるプロデューサー」の役割も全うすることを現場のリーダー全員に求めた。さらには、全社を上げて、プロデュースの実践とノウハウ作りに取り組み始めたのである。数ヵ月後からは、そのノウハウを活用し、今後の飛躍が期待できるリーダーたちに、OJTを通じて習得させる動きをはじめたのだった。
ソリューション戦略を実現する鍵は組織のプロデュース能力とは・・・
その必須用件とは、この3点にまとめられます。
トップが意図しているソリューションとは「お客様の成果」向上が目的であることを伝え続けること。
「お客様の成果」向上を実現するソリューションは、組織の力と知恵を引き出すプロデュース能力が必要であること。
プロデュース能力の中核は、コンセプチュアルスキル(コンセプトメイク・シナリオ共創力)であり、組織のコンセプチュアルスキルを高めることが成功の要であること。

トップ(塚田)の期待したリーダーの動きは、「お客様の成果」向上のためのコンセプトをお客様関係者と統合し、そのコンセプト実現のために自社組織の可能性に挑戦し、足らない点は他社を活用してでも、コンセプト実現のプロジェクトを機能させることだったのです。お客様へのお役立ちとは、組織の知恵がぐぐっと結集してこそ、はじめてできるものなのです。